露光ってなんじゃい?という話の前に、少しだけカメラの話を。実はカメラのセンサーって、肉眼よりもずっと性能が悪いんです。
カメラの性能を測るモノサシの一つに「ダイナミックレンジ」というものがあります。平たく言うと、どれくらいの明るさまで描写できるか、どれくらいの暗さまで描写できるかということ。
まだピンと来ないですよね。下の図を見てください。
こんな感じの紙を撮ってみて、階調をどれだけ表現出来ているかテストするんです。左上が真っ白になったら、そこから先は「白とび」右下が真っ黒になったら「黒つぶれ」肉眼ではわかるのにカメラでは表現できない領域が存在するわけです。そこでこの限られた範囲を明るい方に持っていくか、暗い方に持っていくかして、撮りたいものをコントロールする、それが露光というわけです。
作例を用意しました。
これが手前の人を中心に露光をいじった場合。暗い人物の部分を表現する為に露光を明るく(プラスに補正)しています。ただこれだと後ろの景色が「白とび」していますよね。
景色を生かそうとマイナスに補正するとこんな感じ、見事に人物が「黒つぶれ」してしまいました。その一でマイナス補正は程々に、と言ったのはこの「黒つぶれ」をする危険があったためです。
これをバランスよく補正すればこんな感じになります。
ただこれはあくまで「例」です。あえて白とび、黒つぶれを作って味のある写真を撮るのもテクニックなので、場面場面で使い分けてみてください。
スタジアムのピッチはほぼ均等に光がまわっているので、それほどコントラストを気にする必要はないと思いますが、スタジアムのコンコースや周りの様子も写真におさめたいという時は注意してみてくださいね。
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さてさて、ここまでいろいろと引っ張ってきたこの講座ですが、あくまでこれはjpegで保存する場合のお話です。もしお金と時間に余裕があって、もっとこだわった写真が撮りたい!という時は、RAWで撮影してみましょう。実はRAWで撮ったほうがある程度の失敗は補正できてしまうのです。
RAW現像の魅力や方法に関してはこちらのサイトが詳しいので割愛しますが、これまた平たく言うと、記録したデータをまるごと全部生かす現像方法です。しかし自由度が高い反面、現像がややこしかったり、時間がかかったり、お金がかかったり、知識が必要だったり、まあとにかくいろんなものが必要になるんです。jpegとRAWではパックのお刺身と釣ったその場の魚くらい違います。まずはいろんな設定を試して写真撮影に慣れるところから初めてください。写真が好きになったら、必ず不満な部分が出てくるはずです。その時から勉強しても決して遅くはありません。
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このカメラ講座はあくまで最初のステップ、付け焼刃、一晩づけの知識です。ホントはもっと奥深くて、ずっと楽しい。カメラを持って出かける楽しさ、現像する面白さが一人でも多くの人に伝われば幸いです。