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Sat 24 Dec 2011

第91回天皇杯 準々決勝 清水2(5PK6)2C大阪 Levir Xmas!

前半11分 キム ボギョン(C大阪)
前半23分 小野 伸二(清水・PK)
延前3分 清武 弘嗣(C大阪)
延前14分 高木 俊幸(清水)

PK
C大阪 ○○○○☓○
清水  ○○○☓○☓


いい攻めを見せても決めきれず、リードをしても守りきれず、悪い時のセレッソそのものだった。

それでも、今は結果だけがあればいい。少しでも長く、レヴィーと、小松と、移籍するもの、戦力外になったものと戦えるのであれば、不格好でもいい。


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スタメンを観て不安がよぎった。出場停止の扇原の名前がないのはともかく、ディフェンスのカナメである茂庭がベンチにすらいない。ボランチの位置にはキム・ボギョンが一列下がり、CBは上本と藤本が入ることになった。ベンチのCBには金聖基が入り、小松が攻撃的なカードとして控える。

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試合開始時



前半 一進一退。

試合の幕開けは、キム・ボギョンの豪快なミドルから始まった。

左サイドでは丸橋、右サイドでは村田がいい動きを見せていて、ボランチとして少し下がった位置にいたキム・ボギョンへのマークが遅れていた。

キム・ボギョンはそれをうまく利用。バックステップを踏みながら相手を呼び寄せ、引きつけた所で前にダッシュ、自慢の左足が生きるシュートコースを作った。放たれたシュートは規格外のスピードでネットに突き刺さる。

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その後には清水の中で唯一動きが把握できなかったユングベリがドリブル中に足を痛めて離脱、流れはセレッソにかたむくかと思われた。

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わずか15分でピッチを去ったユングベリ、このドリブルの直後にビッチにうずくまる。


しかし、懸念されていた守備でほころびがあり、丸橋(?)がハンドをとられPK、ユングベリと代わって入った小野に決められ、わずか15分ほどでタイスコアになってしまった。


この試合、攻撃に関してはキム・ボギョン、村田、丸橋がキレのいい動きを見せていて、それぞれマッチアップした相手を凌駕していた。

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しかし攻撃に傾倒するあまりに守備が手薄になり、山口螢、上本、藤本にかかる負担が大きくなることが何度もあった。いつもなら茂庭がいて、扇原がいる位置に誰もいない。

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上本は何度も藤本、丸橋と守備の確認。



攻撃に入れば魅力的な動きで相手を撹乱しながら、守備の際にはもろさが露呈する。セレッソらしいといえばそれまでなのだけれど、やや不安な前半だった。


後半 攻めども攻めども…。

後半の立ち上がりは清水のペースだった。小野のやわらかなパス、ボスナーのオーバーラップにも手を焼いたが、ボスナーとペアで入っていた岩下のしたたかなプレーがセレッソを最も苦しめた。

セレッソの攻撃は相手のペナルティエリア前での細かなパスワークやドリブルが成功するかどうかがキーになるが、肝心の最後の仕掛けの部分でボールを奪われる。攻撃陣が殆ど前に残ったままで、山口はとんでもなく広いエリアを戻りながらカバーするはめになった。

対する清水も高原が上本、藤本にほぼ完全に封じられて決め手を欠く。手詰まりになる両チーム。


セレッソはシュート0本だった杉本を下げて小松を投入する。

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後半15分


小松は長崎で、そしてセレッソで磨きをかけたドリブルで、清水の守備に挑む。

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両サイドは村田、丸橋が凌いでいたので、ここで小松がうまく合わせられれば、試合を決めきれただろう。実際に丸橋のクロスに小松のヘッドがピタリと合って、あわや、というところもあったのだけれど…。


小松が入ったあたりから、終始セレッソの攻勢が続いていた。あいかわらず守備は不安定で、キム・ジンヒョンと上本がギリギリで防ぐ場面もあったが、それ以上のチャンスはあった。セレッソが90分で勝つべきゲームを押しきれなかった。仙台戦に続いて延長。快晴だった空もかき曇り。時おりみぞれが降りだした。


延長前半 ゴラッソの応酬。

今日の清武は本当に不出来。冷静さがなく、らしくない細かなミスをして攻撃を鈍化させていた。後半ラストには太ももにハリが出て交代するかとも思われたが、そんな時でもあれだけの大仕事をしてみせるのが清武なのだな。

前半3分、細かなドリブルで分厚い清水の守備を単独突破。そのままファーにぶち込んで勝ち越し!

エースの一撃に、チームが湧いた。

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結果論ではあるけれど、ここで守備的なカードを切っていれば、もう少し早くこの記事を書いていたかもしれない。うまくボールキープをして時間を使えば、試合を「壊す」こともできたはず。

後半から投入されていた清水FW高木俊幸が、淡い期待を吹き飛ばした。ドリブルで右サイドを侵食され、マークが遅れたところをズドン。リーグ戦でも同じ位置で決められていただけに、ケアができなかったのかが悔やまれる。再び、タイスコアに。


延長後半 播戸投入も。

延長後半、村田はもう限界だった。

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ハーフウェーラインから相手ゴール前深い位置までスプリント、これを何度も何度も続けていたのだから、当然。

代わって入るのは、最もゴールが期待できる播戸。4-2-2-2になってより攻撃的に。

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延長後半4分


しかしいかに播戸がスペシャルな存在だったとしても、ボールがこなければ仕事はできない。カウンターの応酬で両軍とも疲れきっていて、パスの精度もなくなっていたし、ドリブルで運ぶ力があったのはキム・ボギョンくらい。決め手にかけ、勝負は仙台戦同様PK戦に。


PK戦 ホワイト・クリスマス

後半半ばから降りだした雨はみぞれになり、雪になり、雹に変わった。ゴール裏は再び身を寄せ合い、生きた壁となってキム・ジンヒョンを支えた。

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2試合続けてのPK戦、相手はテクニシャン揃いの清水だ。心臓が喉から飛び出そうな気持ちになった俺は、セレッソのベンチをレンズ越しにのぞいて、驚いた。

上本が、みんなが、笑って声を出している。

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その時、いつも後ろ向きなことしか考えられない自分でさえ「勝てたかもしれない」と思えた。あの輪の中にいた選手たちだって同じ気持ちになったはずだ。


さすがに清水、みな冷静に決めてくる。しかしキム・ジンヒョンの読みは当たっていて、一人目、二人目ともにギリギリとり逃したものの、蹴る方にすればいい気分ではなかったろう。


4人目まで全員成功のセレッソに対して、清水は4人目、ここまで守備を支えていた岩下がミス。しかしセレッソも決めれば勝利が決まるPKを播戸が外してサドンデスに。

それでも、勝利の女神はキム・ジンヒョンに優しい。6人目山本海人のシュートがポストを叩く。

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ようやっと、ようやっとの勝利。

風雨にさらされながらも戦ったサポーターに、セレッソから最高のクリスマスプレゼントが届いた。

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俺たちは、もうこれでお腹いっぱい。だから次はレヴィーにたらふくプレゼントを持たせてやろう。あと2つ勝って、飛行機に乗せ切れないほどの栄光を。奥さんの機嫌をなおすには、それくらいはいるだろう?

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posted by 西中島南方 at 21:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Sun 18 Dec 2011

第91回天皇杯 4回戦 仙台1(2PK4)1C大阪 Stay Gold!

延前8分 武藤 雄樹(仙台)
延後10分 村田 和哉(C大阪)

PK
仙台 ○ ☓ ☓ ○
C大阪 清武○ キム・ボギョン○ 丸橋○ 扇原○


この勝利はみんなのもの。セレッソを愛する全ての者が戦った、価値などつけられない偉大な勝利。

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スタメンとベンチは現時点でのベスト。播戸は自らのライフプランをかなぐり捨てて戦列に加わった。キム・ボギョンもフェイスガートをつけてのプレーにのぞむ。

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試合開始時


前半 攻め立てるが…。

前半開始早々から、セレッソは飛ばしていた。今考えるとよくPK戦まで持ったものだ。1年間練磨を続けた3シャドーに扇原、山口蛍のダブルボランチ、両サイドバックが絡んで仙台をまくし立てた。

杉本もいつものゆるさというか、淡白なところが無くて、ガツガツとボールに絡んでいた。上本、茂庭の2バックも藤本が酒本に比べるとやや低めの位置でプレーしていたからか、比較的楽に攻撃を封じていたように見えた。2バックが2.5バックになっただけでも安定感は違う。フィールドプレーヤーが緊張感を持ってプレーしていたからだろう、キム・ジンヒョンの出番が殆ど無かった。


それでも試合は一方的なものにはならない。仙台が厄介なチームであることに変わりはなく、決定機は流れの中からの倉田とセットプレーの扇原の2度程度だった。

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仙台の素晴らしさは、やはり守備、特に組織的な動きは凄みがあった。押し込まれた時は8人がゴール前に堅く張り付いて相手の攻めを跳ね返すし、少しでもスキがあるとラインを押し上げて強いブロックでこちらのパスを絡め取ってしまう。


相手にもいいようにさせはしなかったものの、完全にこちらに流れを引き込んだわけではないもどかしい前半。カップ戦では先に失点した方が圧倒的に不利、それをよく理解した攻防だった。


後半 仙台のジョーカー

後半も立ち上がりからセレッソが攻めるが、仙台も落ち着いていなし続ける。今度はお互いがサポーターの待つゴールに向かうので、スタジアムも自然と熱気を帯びてきた。

観客はわずか5316人であるけれども、はるばる仙台から寒風を突っ切って乗り込んできた一騎当千の仙台サポーターと、長居スタジアムのバックスタンド裏まで列をなして開門を待った生粋のセレッソサポーターの5316人、気温が低いのも手伝ってか跳ねる跳ねる。


先に動いたのは仙台で、広くピッチを動きまわっていた太田を下げて、同じ運動量が武器の武藤が入ってきた。

この武藤が実にいやらしいプレーでセレッソを苦しめてくれた。普通ならあきらめるような競り合いも果敢に挑んでくるし、DFラインでボールを回しているところに必ず突っ込んでくるから落ち着かない。

セレッソもよく体をはった杉本から播戸にスイッチ。

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後半29分


播戸はこんな寒空の下でも半袖のユニフォーム、風の子のようにピッチを動きまわる。

しかし播戸を入れてもなお、仙台の堅守は揺らがない。どれだけ時間が経とうが、前線と最終ラインの間が30メートル程度に収まっているのだから本当に頭が下がる。

激しいプレスを続けてきた代償として大黒柱の梁勇基とDFチョ・ビョングクがパンクしたが、戦い方は変わらない。セレッソも高く保ったラインの裏を突こうと俊足の村田を入れるが、いいパスが入らず、生かし切れない。

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後半42分



結局胸踊る場面も肝を冷やすシーンも殆ど無いまま、ピリピリとした小競り合いが続き、勝負は延長戦に持ち越されることになった。


延長前半 エアポケット

120分間を見なおしても、ミスらしいミスはあの一度きりだった。それでも、やられる時はやられるのだな。仙台に押し込まれながらも、なんとかしのいだかと思った刹那に、わずかに連携がズレて、右サイドの奥でボールを失ったのだ。

慌てて立て直すにも相手の出足が早く、最初の決定機を決められてしまった。ゴールは仙台の前線に活気を与え続けた武藤のもの。何度もボールに食らいついてきた努力が、仙台に大きな1点をもたらした。


堅守速攻に専心した仙台がどれほど厄介かは、Jリーグを見た人ならば知っているだろう。その上にこちらは高さというオプションがなく、引かれた時に必要なカードを失っていた。絶望がキンチョウスタジアムを覆った。

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延長後半14分、倉田アウト、大竹イン。キム・ボギョンがボランチに。



延長後半 窮地を救った「末っ子」

不利とわかっていても、もう攻めるしかない。この後半で1点をとれなければ、この1年が、そしてレヴィーとの5年間が終わる。与えられた15分という時間は、その意味を考えればあまりにも短いものだった。

セレッソは何もかもかなぐり捨てて、攻めて、攻めて、攻めつづけた。ひたすらパスを回し、泥臭くボールに食いつき、苦しいところからでもシュートを放つ。


堅い仙台の壁に、11人が全員でぶつかり続けたその末に、あのゴールが待っていた。播戸、大竹、清武、キム・ボギョン、丸橋。皆レヴィーが手塩にかけて育てた、信じて使い続けたプレイヤー。最後に待っていたのがそうした「レヴィーズチルドレン」の末っ子、村田だったのには、何か意味があったのかも知れない。


お世辞にもいいシュートではなかった。振った足がボールに当たった、という表現がより近い。しかしそのボールには魂がこもっていた。だから、ネットをゆらせたのだ。同点、同点、同点!タイムアップ5分前に、歓喜が待っていた。

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値千金のゴールが、沈みかけたスタンドに火をつけた、そうして、勝負はPK戦に。


PK戦 みんながセレッソ。

PK戦が始まる前、コールリーダーが声を振り絞ってゴール裏に呼びかけた。

「大旗の人はゴールの裏に!みんなもゴール裏に固まって!」

みなが肩を寄せ合い、仙台のPKではゴール裏でフラッグを振り、マフラーを回した。セレッソのPKでは集中を邪魔しないようにじっと耐えて動かない。

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この時、セレッソはひとつだった。どこからどこまでが選手で、どこからどこまでがサポーターで、などという線は無かった。全員で守り、全員で攻めた。仙台のPK、2本目がそれ、3本目がキム・ジンヒョンの網にかかる。その度にゴール裏が、スタジアムがうねった。

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最後のキッカーは扇原だった。いろいろな経験を経て、強く、たくましいボランチとなったセレッソのナンバー2、外すはずがない。揺れるネット、再び、歓喜。

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俺たちはまだ生きている、俺たちはまだ戦える。みんなで戦っている限り、レヴィーとありたいと願っている限り、負けはしない、死にはしない。今は、そう信じられる。


最後に

こんなに熱く、心打たれる試合を観られたのも、仙台、そして仙台サポーターという強い存在がいたから。

試合後、気落ちしているはずの彼らから、セレッソ大阪コール、そしてレヴィーセレッソのコールをもらった。

サッカーをよく知らない人達は、サポーター同士というと、ギスギスした、すぐ小競り合いを起こす連中のように考えているけれど、それは間違いだと声を大にして言いたい。

日本のサッカーは、つらいことも多いけれど、温かく、素晴らしい。アジアを体験してなお、いや、経験したからこそ、そう言える。仙台のみなさんありがとう、また来年もいい試合をしよう。
posted by 西中島南方 at 00:24 | Comment(3) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Sat 26 Nov 2011

2011 J1 第33節 柏1VS1C大阪 少しは重圧というものを味わってもらう。

後半3分 上本 大海(C大阪)
後半20分 レアンドロ ドミンゲス(柏)


柏の人達は、俺達が2005年に味わった胃の痛くなるような、眠れなくなるような重圧を味わってもらえたろうか?これがプレッシャーというものだ。

前半 -クルピの奇策-

セレッソは先発を4-4-2のメンバーでむかえたが、試合が始まってみると少しややこしいシステムに見えた。杉本がトップ、播戸がその周りを動いてボールを受ける。清武は左サイドが主戦場で、倉田とキム・ボギョンはそれよりも下がり目。マルチネスが底に入る変形の4-3-3のようなシステム。

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これだとボールをさばくマルチネスの近くに倉田、キム・ボギョンがいて、ボールを持った時、すぐに複数の選択肢ができる。キム・ボギョンも前節に比べるとコンデイションが上がっていたし、倉田も与えられたタスクをキチンとこなしていた。

攻撃に関しては少し迫力が足りなかったが、ボランチのラインが3人に増えた分、守備では安定感が増した。柏が慎重に入ってきたためにボールホルダーも少し余裕があって、神戸戦のようにバタつくことが無くなった。

他の試合を観ていると、柏はもっとイケイケで、前がかりに攻めてくると思ったのだけれど、これがプレッシャーなんだなと感じられた。

播戸が酒本からのクロスをもう少し上手く決めきれていたら、もっと柏を苦しめられたはずだけれど、決定機はこの一度きりだし、前半0-0というのは御の字と言えた。


後半


両チームの監督がハーフタイムに動く。柏はフレッシュなFW田中を、セレッソは播戸を下げファビオ・ロペスを投入する。セレッソとすれば予定どおりの交代。

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後半開始時


さらに幸運。立ち上がりのセットプレーで先制点を奪えた!上本の抜け出し方はいいもので、素晴らしいゴール。シーズン終盤、今までの悪い流れを考えれば、ここまではむしろ出来過ぎだったかも知れない。


ただ、これで柏の気持ちに火をつけてしまったようにも感じる。続けざまのカウンター、清武から杉本の流れで相手に恐怖感を与えられていたら、決めきれていたら、試合を決定づけられたかもしれないが、それは、さすが首位柏というべきなんだろう。ここまで勝ち上がってきたチームの強さと、ここまで勝ちきれなかったチームの焦りみたいなものが、ここでクロスしてしまった。


後半10分過ぎ頃から、柏の守備が変わったのも大きい。前からドンドンと追い込んできて、中盤でパスカット、そして素早く攻撃に移る。セレッソは前半あった倉田、マルチネス、キム・ボギョンの繋がりが希薄になりだして、柏がゴールを脅かす場面が増える。

後半20分のレアンドロ・ドミンゲスのシュートは素晴らしいもので、キーパーにすれば止める方が難しいもの。ああいうのは撃たれる前に止めないといけない。前半はマルチネスと倉田、キム・ボギョンのどちらかがサンドイッチにしていたのだけれど、あそこでは誰も行っていなかった。

この同点ゴールで、柏が自らにかけていた軛を完全に外して、いつも通りのプレーをし始めた。対するセレッソは少しずつ疲弊しだして、あと一歩、もう少しというところで競り負けたり、走れなかったり…。

ここまで頑張ってきた尾亦も足がつってアウト、藤本が急遽左サイドバックとして投入される。足がつってから藤本が入るまでに時間があったので、セレッソとしては肝を冷やしたところだったが、事無きを得る。

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後半31分


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後半33分杉本→村田


これが不思議なことなのだけれど、対人守備に長ける藤本が左サイドに入ることで、柏の右サイドの崩しをある程度止められるようになった。同点直後30分過ぎくらいまであった柏の躍動感もすこしずつ希薄になり、両軍ともに気持ちはあるけれど体が動かない状態に。

結局両軍このまま攻めきれず、アディショナルタイムの4分も見所なし、ドローという形になった。


セレッソからすれば2試合で6失点と崩壊していた守備陣がある程度のレベルまで戻ってきたことは収穫だし、柏にすれば名古屋に首位を明け渡さず、「勝てば優勝」というシチュエーションのまま最終節を向かえられるのは、最悪の結果ではないだろう。

ただ、気持ちの問題として、どちらも勝ちたかったはず。俺達はレヴィーに少しでもいい思いを残してブラジルに帰ってほしいし、柏にすればホームで優勝を決めたかっただろうし(もし勝てたとしても名古屋が勝ったため優勝はなかったけれど、心情として)

この気持ちを体を動かすエネルギーに変えられるのか、それとも足かせにしてしまうかで、最終節の結果は大きく変わってくるだろう。セレッソも天皇杯に向けて、少しでもいい形でシーズンを終えたい。泣いても笑っても残り1節。ならば全力で戦って、全てを出し尽くして、笑おう。セレッソにも柏にも喜びがあるように。
posted by 西中島南方 at 17:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Mon 21 Nov 2011

2011 J1 第32節 C大阪0VS3神戸 悔しくないなら終わってる。

前半11分 吉田 孝行(神戸)
後半8分 北本 久仁衛(神戸)
後半45分+5 大久保 嘉人(神戸)


セレッソの選手は、もっと義侠心のある連中だと思っていた。5年間寸暇を惜しまず育ててくれた監督の、集大成になる大事な試合で、こんな無様なプレーができるとは。日頃は愚痴や罵詈雑言は我慢していたけれど、今日は我慢できない。

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特に杉本はなぜ90分間「立てていた」のかを感じ取ってほしい。レヴィーは残り少ない大事な時間を、お前が独り立ちするために当ててくれていたんだ!!


スタメンとベンチ。キム・ボギョンが帰ってきた。まだフェイスガードをしていて痛々しいけれど、嬉しかった。五輪代表で抜けた扇原の穴を埋めるべく即スタメン起用。その他もほぼベストのメンバーだった。

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それでも悪癖は抜けず。序盤でつまらないミスからボールを奪われ、開始11分で早々に失点。下らないミスでボールを奪われて危機的な状態を招く、どれだけ同じ間違いをすれば修正されるのだろう?

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酒本は足元がしっかりしているプレーヤーだけれど、それを慢心して危なっかしい時がある。今日は完全に裏目に出た。

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ボギョンは、本当にピッチに「立てた」という感じで、あからさまにヘディングを避けていた。中盤でファイトできる選手が一人かければどういうことになるか。


守備も神戸の前線からのチェイシングに手を焼いていたけれど、攻撃陣も重症だった。相手のミスから好機を迎えても、自らバックパスやつまらないパスミスで攻撃が途切れたり…。いつもの流れるようなコンビネーションができない。

重ね重ねになるけれど、1トップで入った杉本は、厳しい。個人批判はしたくないけれど、周りのプレーヤーの頑張りをあまりに無造作にふいにしてしまう。これでは他の選手が浮かばれない。前半は殆どシュートらしいシュートが打てずじまい。0-1というスコア以上に酷い内容で、1万6030人の観客が納得できるものではなかった。

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悪童同士の会話、少しだけ癒された



後半はリスクを冒しても攻めに出るセレッソと、それをあざ笑うようにカウンターを仕掛ける神戸という構図が45分続いた。

流れが決定づけられたのは神戸の2点目、北本のゴールだ。明らかな誤審でも、審判というものは、平静としていられるのだな。


2点ビハインドになりたまらず播戸を入れてみたものの、一人でどうとなるレベルの話ではなかった。何度かいい場面を作るも、ゴールが奪えない。

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後半11分


ここからのセレッソは、今までより輪をかけて酷かった。今年ワースト、と言う表現を使うのは何度目だろうか。あわやPKという所があり、キム・ジンヒョンに助けられたところも何度か。これらが全て神戸よりなら、0-5、0-6というスコアだってあり得た。


セレッソにとって福音は、村田の存在だろうか?

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後半30分


村田はセレッソの中では技術がどうという選手ではないけれど、気持ちを全面に出して戦ってくれた、その心意気に、少し救われた。何度も右サイドを突破して、チャンスを作ってくれた。

それでもチームはチグハグなまま。播戸の2度の好機も得点ならず。他はシュートらしいシュートも打てないままでロスタイム、嘉人にトドメを刺された。

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キム・ジンヒョンがピッチを叩いて悔しがってくれたのも、救いになった。全力で、全身全霊で立ち向かってくれたプレーヤーを、批難はしない。戦えないプレーヤーこそいらない。


今セレッソにいる選手の、そのほとんどは、レヴィー・クルピが手塩にかけた、言わば愛すべき息子たちだ。親がいなくなると言った最初の試合で、これほど親不孝をするとは思わなかった。なぜ戦えない?なぜ悔しさを表さない?それが歯がゆくて悔しくて、あえて酷いバッシングをしている。


悔しかったら得点をとれ!防いでみせろ!そうして俺を土下座させてみろよ!!親孝行の一つもできないで、何が海外だ!!

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posted by 西中島南方 at 00:05 | Comment(1) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Thu 03 Nov 2011

2011 J1 第31節 名古屋3VS1C大阪 Anti Anti-Football.

前半24分 藤本 淳吾(名古屋)
前半36分 小松 塁(PK)(C大阪)
前半42分 ケネディ(名古屋)
後半31分 永井 謙佑(名古屋)


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もうわかっているはずだ、名古屋の「Anti-Football」を。

高さ、速さ、ガタイの強さ、フィジカルの長所をひたすら強調し、想像力、イマジネーションがひらめく前に、自分が相手に対してアドバンテージを持っているプレーを第一と選択し、いやらしくいやらしく続けていく。相手陣内でのファウルは全て得点機とばかり、ケネディ、増川、闘莉王が迫り、藤本、小川、玉田の精度の高いボールが入っていく。

磐田も同じようなサッカーをする。決定力のあるFWにいいボールをわたすところから逆算して、残りの9人のプレーヤーが動くところは似ている。ただ名古屋には資金をバックにした選手層の厚みがある。その差が前節の0-4と、今節の3-1というスコアに出た。


大勝した前試合からスタメンは動かさず、高橋大輔はベンチ入りもしなかった。怪我の播戸に代わっては永井、中後と山口螢が入れ替わっている。

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前半

入り方自体は悪くなかった。相手のボールの出所と行き着く先は決まっているのだから、そこを念入りにケアしていくという方法は間違いではない。開始早々には小松がいい形からシュートを放つなど、いい感触。

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引っかかったのは、攻撃陣のパスワークがどうしても鈍化してしまうところ。縦へのスピードが出せないので、相手が帰陣してしまって効果が薄い。

形を変えてサイドバックからクロスを入れても、ドリブルで仕掛けても、セットプレーに「逃げられる」形が多かった。そうすれば、長身のプレーヤーが難なくボールを跳ね返してしまう。これは気が楽なはずだ。


対するセレッソは、ファウルに対してとても神経質になった。なにせ相手はどんな位置からでも得点を生み出せる優秀な出し手と受け手、その両方を持っているのだから。最初は伸び伸びとプレーしていたけれど、守備の負担が相当だとわかると、守備でのコンタクトを恐る恐るし始めるようになった。小松のPKで1-1になってからも、相変わらずこのゴリ押しサッカーに手を焼いていた。セレッソが押せ押せの時間帯など、殆ど無かった。

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1点目、藤本のフリーキックは素晴らしいものだし、小松が奪ったPKから同点に持ち込んでからのケネディの2点目もうまい。ただ名古屋がそういうチームだと、サポーターでも知っている。それをむざむざ決められる下らなさが、セレッソの選手たちから冷静さと正確さを奪っていた。せめて1-1で折り返していれば、メンタルの落ち込みはそれほどではなかったはずだけれど。

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後半

後半は、もう名古屋にいいようにやられた。セレッソはしたいことが何もできなかった。それだけ。

攻め手を欠き、ミスが増え、ロングボールに対するケアも次第に緩くなっていく。ずっと相手のペースでプレーさせられてきたのだから、スタミナは予想より早く落ちていたのだろう。それを考えれば仕方が無いことだけれど。

ただし、負けている中で、選手交代が後手に回ったのはいただけない。杉本が準備万端で待っているのにプレーが切れないのは、不運で片付けていいものか?

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後半23分、マルチネス→杉本


杉本は高さと強さを買われて3シャドーの真ん中、小松と共に前線をはる。倉田が一列下がって中盤で動ける選手を増やした形で、それはそれで効果があった。それでも、ゴリ押しサッカーに耐えるという大局は変わらなかった。

3失点目はそうした中、押し込まれた局面を何とか打開しようとした上本のミスから生まれた。こればかりは責められない。


二人目の交代は大竹、ここまで必死に走ってくれたファビオ・ロペスもこれが精一杯。こちらもスコアが動いてからで、後手に回った。

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後半32分


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最後の交代は、なんとも言えない。試合はすでに決まっていて、一人のプレーヤーが入った所で何も変わらないような形になっていたから。

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後半38分


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ロスタイムからコレオをしながら応援を続けた名古屋ゴール裏、これを悔しさに変えなければ。


まとめとして。俺は名古屋の何の高揚感もないサッカーがキライだ。しかし勝っている、結果を残しているのだから、それはこの世界では正義なのだ。

例えパスが何本美しくつながろうと、ゴールネットが揺れなければ勝てないし、評価されるべきではない。どんなに不恰好でも、ルールに抵触しない形で勝てば、それは評価に値する。それがプロサッカーというものだと理解している。

だから、次こそ、次こそこの不恰好なサッカーを、格好良くいなしてやりたい。セレッソらしく勝ちたい。そのためのポテンシャルを持っているチームを応援しているつもりだ。レヴィー・クルピ、そのための策を。選手は、情熱と冷静さを持ったプレーを。

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Mon 24 Oct 2011

2011 J1 第30節 磐田0VS4C大阪 馬蹄形の檻の中で。

前半37分 扇原 貴宏(C大阪)
後半4分 倉田 秋(C大阪)
後半18分 扇原 貴宏(C大阪)
後半45分+1 播戸 竜二(C大阪)



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前回の対戦と比べて、お互いのやろうとしているサッカーに変わりはなかった。ただし磐田のポテンシャルは相当に落ちていて、セレッソのそれは比べものにならないくらいに上がっていた。0-4というスコアは出来過ぎな部分もあるけれど、チームはそれなりの働きをした。


スタメンとベンチ。高橋大輔とキム・ボギョン以外はベストメンバー、久しぶりに戦えるチームが作られた。清武、倉田、上本、それに扇原。待っていたメンバーの復帰。

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前半

試合の立ち上がり、磐田は前回と同じように、今年の磐田のサッカーをしてきた。FWは常に前線に張り付きボールを待つ。残りのフィールドプレーヤー8人は相手のゴールに対して囲い込むように、馬蹄形に陣を敷く。そして駒野ら力のある選手をうまく使い、どちらかのサイドを崩し、そこから得点源である前田、金園につなげていく。もし全体が停滞すれば馬蹄形の底までボールを戻し、ロングボールで相手の守備陣の密度を下げる。二人の素晴らしいFWを生かすためのシステムで、愚直ではあるが、クロスやロングボールでゴール前にボールが来ると怖いも前回同様。

セレッソはシステム変更こそなかったが、それに対するケアを上手にしていた。サイドにボールが入るとサイドバック以外にもう一枚、中盤の誰かがかならず加わって、数的な均衡を崩さないように気をつけていた。一瞬も2対1という局面がなく、丸橋、酒本に対する負担は大きく下がった。

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ロングボールに関しては上本、茂庭、扇原、マルチネスのブロック、そしてキム・ジンヒョンがよく頑張ってくれた。

際どいボールも何本かあって、油断していれば決められたかもしれない。そこを集中して耐えてくれたことが、このスコアに繋がっている。ゴール裏で見ていると、彼らの勇敢さがひときわよくわかって、胸が熱くなった。

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上本は怪我をおしてハードな守備をしてくれた


攻撃に関しても、マルチネス、上本、扇原が起点になって良いボールを渡せるので、そこからシャドーへと攻撃に連動性が出た。レヴィーも試合後に「これがセレッソのサッカー」と自信を持って発言していたが、甲府戦から僅か1週間で、いい時のリズムを取り戻してくれた。


前半も半ばを過ぎると、シャドーと1トップの小松がスピード感ある攻撃をしてくれるので、磐田の馬蹄が少しずつたわみだすようになった。それまでも扇原がいいチャンスを2回作ってくれていたので、ほぼずっとセレッソのペースだったけれど、3シャドーが特によく動き出したこのあたりから、本格的に流れが傾きだした。

磐田の守備がシャドーに手を焼くと、後ろの扇原がいい形でボールを受けられるようになっていた。この試合一番気持ちが入っていたはずの扇原にとっては好機。そしてそれを逃すこと無く、キッチリと決め切れた。シュートはラッキーな形で決まったけれど、その幸運を呼び込んだのは、勝ちたい、結果を残したいという扇原の執念。

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その後も得点後の失点という悪癖を何とか抑えこみ、前半を0-1で折り返す。上々の45分間。


後半

後半も前半の余勢をかって、立ち上がりからよく攻める。ファビオ・ロペスの突破からのシュートは決まらなかったが、その直後にあったチャンスは倉田がしっかり叩きこんで0-2。チームの頑張りが形となって現れたことで、セレッソは勢いを加速させることができた。

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磐田は選手交代で流れを変えに来たが、ベースとなっているサッカーは変わらないままだったので、守備陣は大きな変更なく応対していた。スタッツを見ると前田のシュートが0本、こちらも頑張りが数字になって現れている。


そうして、試合の流れを決定づけるシュートが決まる。ゴール前で相手守備を翻弄させると、清武がスルーしたボールに再び扇原。マルチネス、丸橋の左足が鉈であるなら、扇原のそれは相手の急所を確実に突くフェンシングのエペ。鋭くゴール左隅にシュートを突き刺すと、再びエンブレムをかざしてみせた。

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後半18分 小松→杉本


この日は扇原が主役。ただし復帰戦となった清武も十分に働いた。絶好調の時のプレーと比べればまだ物足りないかも知れないが、あれだけパス、ドリブルでボールを動かしてもらえれば、まわりは随分やりやすかったはず。後半37分で退くまで、そのプレーを堪能させてもらった。

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後半37分 播戸登場


これでほぼ試合の趨勢は決まったのだけれど、それで納得していない男が一人。お祭りに彼は欠かせない播戸竜二の今季10点目が、ゆっくりとゴールに吸い込まれる。

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後半44分 倉田→大竹


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この勝利と残留争いをしている甲府の取りこぼしで、ほぼ今季の残留が決まった。まずは一息つける。

ただしだからと言ってチームのモチベーションは下げたくない。残り4試合、優勝争いのただ中にいる名古屋、柏とのアウェー戦が残っている。プレッシャーのかかった相手を苦しめ、リーグを少しばかり面白くしてやろう。

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Sat 15 Oct 2011

2011 J1 第29節 C大阪0VS4甲府 僕は短気じゃないので。

前半2分 パウリーニョ(甲府)
前半28分 ハーフナー マイク(甲府)
後半18分 ハーフナー マイク(甲府)
後半45分+2 犬塚 友輔(甲府)

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雨が降っていて、悲しいことばかりがあって、平静でいるのにひどく体力を使う。でも、記録はしておきたいと思う。こうも酷い一日があれば、他の殆どの日は今日よりは救いがあるってことで、辛くなったらこのエントリー自分で見ようと思うから。

フォーメーションを用意する気力も失せた。4-2-2-2で2トップ杉本と小松、2列目左ファビオ・ロペス、右大竹、ボランチに中後とマルチネスで、DFは左から丸橋、藤本、茂庭、酒本。キーパーキム・ジンヒョン、リザーブは松井、上本、尾亦、黒木、村田、播戸、永井。

試合に関しては、両サイドバックの裏を徹底的に狙われて、サイドに振られた所でハーフナー・マイクへのマークが甘くなり、後手を踏んだ。これが全て。

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甲府の最初のチャンス、酒本の裏を抜けたパウリーニョのシュートを決められたところで、セレッソの若さ、切り替えの遅さが出て、流れを悪くしていった。運動量無く、技術無く、戦術無く、泥臭さも無いチームが、何をできるとも思わない。特に覇気がなかった小松、杉本が前半で交代させられたのが象徴的。

チームで頑張っていてたのは、後で出た播戸と、ファビオ・ロペスくらいで、後の選手は動きが重いというか、運動量に乏しくて、ボールも意思も通じ合っていない様子がよくわかった。

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マルチネスが頼みの綱だったが、個としても厳しい状態で、その上に受け手が動かないでいるので、孤立していたように映る。

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ハーフナー・マイクは、2006年の横浜FM戦で初めて観た時は、それこそ杉本よりもずっと使いづらい「電柱」でしかなかったけれど、成長していた。

センターバックに対してフィジカル勝負するだけではなくて、時には距離を置いたり、時にはポジションを細かく動かしていて、藤本や茂庭が優位な体制で競り合うことが殆ど無かった。身長がある上にあのテクニックがあるからこその活躍なんだと納得した。封じるとすればその一歩前のボールを止めるしか方法はなかったけど、今日のセレッソにはそれができなかった。

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0-4というスコアは、辛いけれども、妥当なスコア。1-9を生観戦した人間だから、それは耐えようと思えば、耐えられる。

それよりも悲しかったのは、3失点を喫したあたりで、レプリカまで着込んでいた人達が、ブーイングをするでもなく、そそくさと家路についていたこと。

「好意の反対は憎悪ではなく無関心」と聞いたけれど、本当にそんな感じだった。もういいや、見たくもないよという表情の人達が、押し黙って、静かに出口に向かっていく様子は、ヤジを聞くよりも怖かった。そう、怖かった。


触れ合っていない存在は、いないのと同じ、生きていても死んでいても、そもそも触れ合っていないのだから、変わりがない。セレッソが、自分が、そういう「いなくてもいい存在」になっていくことが、本当に怖かった。今日試合終了のホイッスルを聞かずにスタジアムを後にした人のどれ程が、再び戻ってきてくれるんだろう。


「あなたは短気だ」

と、ある人に言われた。すぐに結果を求めすぎると。自分ではそう思わなかったから、驚いた。少なくともセレッソに関しては、そうならないように、何かよいところを見つけて、前向きに前向きにいようと心がけているから、本当に混乱した。今は、気をつけるつもりだけど、よくわからないな。


本当に嫌な週末になった。けれど、そういう時でもベストを尽くさないと生きていけないから。嫌だけれど、本当に嫌だけれど、前を向こう。今日は酒を煽りながらの駄文ですまない、今は、これが精一杯なんだ。立ち直れたら、また頑張るよ。
posted by 西中島南方 at 18:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Sun 02 Oct 2011

2011 J1 第28節 仙台2VS1C大阪 スコア以上の敗戦。

前半21分 渡辺 広大(仙台)
前半40分 菅井 直樹(仙台)
後半42分 小松 塁(PK)(C大阪)



スコアは穏やかなものだが、重症だ。セレッソらしさがベガルタゴールドに塗り上げられてしまった。細かなパス回し、鮮やかなドリブルはなりを潜め、中盤でのイニシアチブを奪えたのは後半のラスト5分だけ。完敗といっていい。


先発は野戦病院と化した今の状態を象徴している。自慢の3シャドーの一角に、全くタイプの違う山口螢。上本はベンチにも入っていないし、清武も当然ながらベンチ外。キム・ボギョンはまだソウルの病院のベッドの上だ。左サイドのスターターは久しぶりに丸橋、扇原は切ったまぶたにテーピングをして登場した。

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これだけメンツが変わればチーム全体のバランスを保つので精一杯。播戸までボールを運ぶはずの3シャドーが全くからまない。最終ラインと前線が水と油のように乖離していて、全体がコンパクトだった仙台とは対照的だった。

結果論になるけれど、ドリブルとパス、運動量が絶対条件の3シャドーに山口を入れたのは失敗だった。それは山口個人の問題でもあるし、彼をこの位置で起用したレヴィーの問題でもある。そんなに縦横に動くわけではない山口と、緩急をつけてボールを繋ごうとする倉田、ファビオ・ロペスの意識に差があった。仙台の2ラインも非常にタイトで、前半攻撃として見応えのあるシーンは全くなかった。ただの一度もだ。

対する仙台は見ていてもコンセプトがよくわかって、選手の意思統一がうまくいっていたように映る。流れの中のシュートでは危ないシーンは殆ど無かったけれど、ゴール近くでファウルをすればリャン・ヨンギがいる。チャレンジして余程酷い奪われ方をしなければ大丈夫という自信が後押ししていたか、前半はスムーズな動きを見せていた。


2失点に関しては、セレッソが今のセレッソであるかぎり議論され続けるだろう形。セットプレー、ゾーンで守っているからには、自分のテリトリーに入ってくる選手をキチンと見ておかなければこうなる。高さのある選手といいキッカーのいるチームに対しては特にそうだ。仙台には両方あるのだからなおさら注意しないと。1点だけならまだ我慢できるけれど、2度やられるとさすがに厳しい。歯噛みしたくなるような前半だった。


後半は頭から2枚同時投入。孤立していた播戸と機能しなかった山口に代えて小松と大竹。この二人の存在がセレッソにとっては福音だったかもしれない。特に大竹は、この試合で唯一及第点のプレー、戦う姿勢を見せてくれた。

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大竹が入ったことで、セレッソは前半よりもいい動きができるようになった。大竹、酒本の二人でポイントが作れる。左半身は倉田一人が孤軍奮闘しているだけで苦しい状態だったけれど、全体がダメだった前半に比べれば遥かにいい流れだった。

それでもチームのクオリティは今季最低と言っていいもので、枠内はおろか、シュートそのものもほとんど撃てていない。対する仙台は堅守速攻という自分のペースに持ち込めたので、非常にやりやすかったろう。シャドーに入る前にボールにプレッシャーをかければいい形が作れない、これはACLの全北と同じだか、ラフプレーで潰した全北よりもずっとスマートに、組織的に守られてしまった。


これに輪をかけたのはファビオ・ロペスの交代。杉本は前線の選手で、セレッソはそこにボールが入らなかった。なのにボールを運ぶ選手を下げて、ボールを受ける選手を入れなければいけなかった。それでロングボールならまだ話はわかるが、それまでと同じサッカーをしたのだから、チームは機能しない。

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後半24分


セレッソは大勝するかと思えばこういう試合もしょっちゅうやらかす、それは攻撃のバラエティの少なさに一因がある。

3シャドーはもうセレッソの代名詞のようになっていて、はまればとんでもない破壊力を見せる。ホーム清水戦、ホーム、アウェーの広島戦、ホーム柏戦、最近のホーム山形戦のように、いくらでも点が入る予感がする。

その一方で、一度それが封じられれば次の手が打てずに手詰まりになる。ホームの大宮戦やアウェーの神戸戦のようにピッチコンディションで機能不全になることもあるし、アウェーの横浜FM戦や前回のACL、この試合のように上手く勘所を止められて動きが封じられることもある。総得点、得失点差で素晴らしい数字を出しているのにもかかわらず、順位が伴わないのはそのせいだ。今日は最悪の出目だった。


小松が頑張ってPKを得て、自ら決めたからまだ試合になったけれど、監督とすれば頭の痛い敗戦だろう。ラフプレーを受けたわけでもなく、主軸が欠場することも早い時点でわかっていながら、適切な指揮がとれなかったのだから。

個人的には、この一試合でレヴィーという監督に対する評価は変わらない。限られたチーム事情の中で選手を育て、ベストメンバーとは程遠いメンバーでもそれなりの試合にしてくれる監督は、そういない。何よりチームを愛し、情熱を注いでくれる存在を無碍にできるはずがない。

だからと言って、今日はついていなかったねでこの試合を終わらせるのは反対だ。大勝と不甲斐ない敗戦を繰り返すのでは進歩がない。こういう試合で勝ち点を1つでも積み重ねられるチーム作りが、セレッソを次のステップに押し上げるための課題になるだろう。具体的に言えば、アウェー新潟戦のような試合がもっとあっていい。サポーターとしては胃が痛いけれど、優勝するチーム、いい成績を残すチームは、そういう試合をしたたかに積み重ねていくものだ。

主力メンバーが帰ってきたとしても、この課題をクリアしなければ、チームの順位がよくなるとは思えない。難しい話かもしれないけれど、きっとできるはずと信じる。ナビスコカップ、久しぶり(ではないのだけれど、そう感じてしまうね)のホーム戦で仕切りなおしだ。
posted by 西中島南方 at 18:16 | Comment(1) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tue 27 Sep 2011

ACL Quarterfinal 2nd leg Jeonbuk Motors6vs1Cerezo Osaka

Enio Oliveira Junior(Jeonbuk Motors) 31'
Dong-Gook Lee(Jeonbuk Motors) 49'
Dong-Gook Lee(Jeonbuk Motors) 55'
Dong-Gook Lee(Jeonbuk Motors) 64'
Rui Komatsu(Cerezo Osaka) 72'
Kim Dongchans(Jeonbuk Motors) 76'
Dong-Gook Lee(Jeonbuk Motors) 91'


あべのにあるROCKTOWNで、この歴史的な試合の、歴史的な敗北を見届けた。俺が見た限りだけれど、ROCKTOWNにいたサポーターは、投げやりになるでもなく、愚痴をこぼすでもなく、ただ前を向いて、最後まで応援していたよ。HUBでもどこでも、同じようであったと願いたい。セレサポは、やはりセレサポだね。誇らしい。

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この悔しさを味わえるのは、この試合に辿りつけたチームだけ。清武が本調子では無かったり、キム・ボギョン、扇原がラフなプレーで傷つけられたり、恨み辛みを書きだせば、それは山のようにある。けれど、それを書きだしたからどうなるものではなし、この経験がセレッソにとってどれだけプラスに変えられるかを考えていきたい。


大勝した山形戦と違ったのは、球際の強さだったかな。あと一歩、刹那の判断の遅さや戸惑いが、このレベルでは致命傷になるということ。何人かのプレーヤーについては、不満が無いわけではない。相手のラフプレーに合わせなくてもいいけれど、戦わないと勝てない。

今は、もうアジアでは戦えなくなったけれど、この経験という財産は大事にしないとね。クラブも、チームも、サポーターも、Jを背負って、日本を背負って戦ったからこその経験が得られたはず。だから次に何をすればいいのか、どうすればもっと強くなれるのかがはっきりした、それだけでも収穫だ。

中には心なく罵る輩もいるだろうけれど、それは露出しているからこそで、俺にしてみれば今さらなことだよ。批判された時は、そいつがグウの音もでない程自分を高めていくいい機会なんだ。楽しむくらいでいこう。


さし当たって、鼻骨を骨折させられたキム・ボギョン、完調からは程遠い清武は仙台戦には出られないだろうし、出さないほうがいい。小松、杉本、大竹、村田、中後、黒木、誰が選ばれるかはわからないけれど、出た選手は今日の無念を晴らすくらい頑張ってほしい。ピッチを後にした二人が、どれだけ悔しい気持ちでいるかを考えれば、怠惰なプレーは許されない。

リーグ戦もまだ残留が決まったわけではないし、逆に賞金権に食い込む機会も残っている、一戦一戦大事に行こう。天皇杯は、とればまたACLで戦える。ナビスコカップも手を抜けない。どれだって大事な試合、気持ちを早く切り替えて、「戦えるチーム」を作っていこう。


アジアを股にかけた大冒険は、ここでおしまい。早く帰って、疲れを癒して、また明日から頑張ろう。とりあえずショックで寝こむとか勉強が手につかないとかはやめような。チームもサポーターも切り替え切り替え!!
posted by 西中島南方 at 22:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Sat 24 Sep 2011

2011 J1 第27節 C大阪6VS0山形 キンチョウの悪魔は死んだ。

前半24分 播戸 竜二(C大阪)
前半28分 藤本 康太(C大阪)
後半1分 酒本 憲幸(C大阪)
後半4分 扇原 貴宏(C大阪)
後半40分 ファビオ ロペス(C大阪)
後半42分 大竹 洋平(PK)(C大阪)




たまに死にたくなる時がある。

幸せで幸せで、もうこれ以上幸せになることなんてありえないと感じた時に、今日死んでも満足だよと思うんだ。

でも、困ったよな、この4試合で3試合が、死にたくなるくらい幸せな試合なんだもの。魂がいくつあっても足りはしない。

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スタメンを知った時は、怒りで心が震えたものだ。清武がU-22代表戦で酷使された挙句に右足を負傷、全治2週間との診断。ACL QF 2nd legにも出られないことがほぼ確定したのだから。代わってキム・ボギョンが一列上がり、ボランチは中後と、これまた二日前の五輪予選で活躍した扇原。センターバックも藤本がスタメン、上本がベンチ。先発が予想された大竹はベンチスタートになった。

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立ち上がりは山形との試合らしい重苦しい感覚。守備が固く、イライラする。攻撃は手数をかけず、大久保に当てて押し上げを待つ形しか無かったのでそれ程脅威ではないのだけれど、先に点をとられれば試合はグッと難しいものになっていたはずだ。
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だから前半半ばに生まれた播戸のゴールには千金の価値がある。それを呼び込んだファビオ・ロペスの飛び出しと正確なクロスもそれと同等か、それ以上の値段がつく。この二人は地球半周分も離れたところで、バラバラの年に生まれたというのに、まるで双子のように惹かれあうものがあるのだな。
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さあ、ゴールショーの幕が上がった。立て続けに追加点だ。左サイドからのコーナーキックに藤本のヘッドが火を吹く。マークしていたのは前田だったから、やり方は知っているはずなのだけれど、うまくフリーになってくれた。
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この2点が先行逃げ切りしかプランのない山形に与えたダメージは計り知れない。選手達から躍動感がパタリと消えてしまった。桜色のプレーヤー達は一足早く現れた黄色い秋の林の中を生き生きとすり抜けていく。ボールを奪うにも素早く、よく集中しているからボールロストも少ない。本当に過酷な日程を経てきたのかと信じられないくらい、よい動きをしていた。前半2-0は妥当なスコア。


山形にチャンスがあるとすればハーフタイムだった。激を飛ばし、プランを変更し、選手の気持ちを切り替えさせれば得点が生まれるかもしれない。1点とれば、1点とられれば、流れは変る。実際3点差を逆転したチームがいるのだから、安穏としてはいられない。

セレッソの選手達はよくやってくれた。後半立ち上がりの2ゴールは、山形の戦意を完全に削ぎ、試合を祝祭に変えるものだった。後半1分には右サイドからのフリーキックに藤本。今度はニアですらせてボールを流し込む。期待に応える2ゴール。
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その直後には身体的にキツイはずのU-22代表扇原が長い距離を移動して左サイドを崩し、憎たらしいほど冷静にゴール。
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前田もよほどこたえたのだろう、セットプレーごとに藤本に何かをつぶやいていた。後の祭りなのだけれどね。
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4点とれば、大丈夫。レヴィーはチームバランスを考えながら交代カードを切る。後半13分には体調が万全ではない茂庭を下げて上本、上本は茂庭を笑顔で迎えていた。

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後半13分


後半19分にはチームの潤滑油として働いていた倉田に休養を用意。代わって入るのは大竹。

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後半19分


この後の試合の流れは、セレッソの一方的なもので、守っていたシーンの記憶が殆ど無い。中盤から前が上手くプレッシングしているからいい位置でボールが奪えるし、選手の距離がいい上に個々の技量に優っているから、ボールを奪われない。チャレンジしたパスもよく決まる。下村のシュートは見事だったけれど、キム・ジンヒョンが素晴らしい反応で防いでくれた。

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後半25分、肩を痛めているキム・ボギョンを下げて黒木


5点目のゴールは、セレッソに関わる全ての人々が待ち望んでいたもの。チームの為に労を厭わず、皆に上質のラストパスを送り続けた勤勉なブラジル人を、神は見捨てはしない。ファビオ・ロペス、混戦からキーパーと1対1を冷静に決め、チームメイトとのパフォーマンスを情熱的にやってのけた!
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我がゴールのように喜ぶ播戸に、播戸が決めたかのように駆け寄るファビオ



さあ、シメと行こう。東京のメッシ、キンチョウスタジアムのアウェーゴールを初めて奪った男は、セレッソに来てもキンチョウに愛される存在だった。左サイドのライン上を綱渡りのようにドリブル、山形はたまらずファウルでPK奪取。本人が冷静に決めて、この最高級のフルコースが終わった。大竹選手、セレッソにようこそ。
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大黒柱の清武が抜けた中で6-0。大竹がチームの流れに加わり、後はゴールだけだったファビオ・ロペスも結果を出した。これで文句を言えばバチが当たるんじゃないかい?キンチョウに居座っていた悪魔は夏の暑さにやられて死んだ。後は、いつもどおりにやるだけさ。

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posted by 西中島南方 at 01:02 | Comment(1) | TrackBack(0) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする