後半44分 小松 塁(C大阪)
今日は内容よりも結果が求められていた。そして選手達はこの要求に最高の結果で応えてくれた。ただ感謝、ありがとうという言葉しかない。
スターティングメンバーに変更は無かったが、システムは今までと違っていた。羽田がいつもの位置を離れ、湘南攻撃のカナメであるアジエルにマンマークにつく。アジエルが右サイドでプレーするので羽田は自然と左サイドでプレーする機会が多かった。
羽田に関しては本当によくやったと思う。アジエルに対してスペースと時間を与えなかった。そしていつものシステムから羽田を欠いてなお機能した守備陣もまた賞賛されるべきだ。
そしてこれは嬉しい誤算なのだけれども、センターに入ったジェルマーノが実に効いていた。両サイドにボールを振り分けたり、単独で攻め上がったり。本職は左ボランチであるけれども、羽田が欠けた時はセンターに入るという選択肢が出来た。
先制点はそのジェルマーノのひらめきから生まれた。羽田から相手ボランチとディフェンスラインの間のスペースにボールを入れるとそれにジェルマーノが反応、キーパーの位置を確認するとゴール前30メートル程の位置からループシュート。これが決まって幸先の良い出だしとなった。
ただしそれで湘南が動じた様子は全く無かった。守備は綺麗に整っていて前線からのチェックが早い。FWまで非常に守備意識が高く、セレッソは前田、江添のラインまでチェイシングで押し込まれるというシーンが目立った。攻撃においては速攻をメインにしながらパスワークも華麗、前4枚の驚異的な速さと連携に手を焼かされた。この試合前まで2位の位置にいたのは伊達ではない。この湘南相手に前半1-0で凌げたのは大きかった。
この時点で私には不安があった。システムが4-3-2-1に変わってから後半になると運動量が落ち、2列目とボランチの間にスペースが生まれてしまうのだ。もしこのスペースを生かされれば不味いことになる。
はたして、不安は的中することになる。セレッソはまるでそれが予定調和のように、いつもどおりに前線と最終ラインが間延びし始めた。湘南はこのスペースを見逃さず有効に使っていた。左サイド尾亦の裏のスペースもよく狙われていた。セレッソにとってはひたすら耐える時間帯が続いた。
それでも失点しなかったのは自らのサッカーに対する自信とリードがあることによる精神的な優位性からと読む。足が止まり始めてもゾーンにはしっかり人数をかけ、アジエルは羽田がピッタリとマーク、攻撃は小松、香川、柿谷のコンビネーションに託す。いささか不恰好ではあるけれど、このスタイルがこの時点でのベストだった。今日の試合レヴィークルピが戦術的を一切使わなかったのがそれを裏付けている。湘南臼井の決定的なシュートがバーを叩いたのも守備ブロックがキチンと出来ていたからと信じよう。
こうして相手攻撃を耐え、我慢し続けると、さすがの湘南にも疲労の色。僅かながらスペースも生まれだし、柿谷、香川が自由に動けるようになった。試合はカウンターの打ち合いという流れに。
この終盤の我慢合戦はロスタイムまで続いたが、これに勝ったのはセレッソだった。相手ディフェンスの一瞬の隙を突いて小松が飛び出し、キーパーまで落ち着いていなし2点目、試合の趨勢は決まった。時間稼ぎに藤本を投入する強かさも見せ、見事2-0の勝利。
繰り返すが今日の試合は今出来るベストゲームだった。各々が各々で役割を果たした。次節の課題はこのテンションをいかに持続させるかだ。
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