例えば先月、俺は新しいデジイチを買った。11万7000円したけど「安い」と思ったから。記録用のSDカード、予備のバッテリー、含めると13万くらいしたけど、それでも安い。
以前使っていたカメラでは残せなかった美しい風景や楽しい思い出なんかが簡単に残せる。多分5、6年は使うから、一年あたり2、3万の投資ということになるけれど、その価値があれば売れるのだ。実際発売日前予約が殺到して、大型電気店やカメラショップでも1、2台しか仕入れられなかった程らしい。
反対に、自販機のドリンクはあまり買わないようにしている。少し歩けばスーパーで同じドリンクが30〜40円くらい安く売られているのを知っているから。この120円は「高い」と感じる。つまり「適正な価格」でモノが買いたいのだ。
セレッソがスタンドの席割、年間パスのチケット代に大鉈を振るったのは、まだ結果は出ていないけれど、少なくとも悪いことではないと思っている。今は席の価値と量がアンバランスすぎる。それを事実として受け止めて、変えることをためらわなかったのはいいことだ。
ただ、いつかは(メインスタンドがいつも7、8割程度コンスタントに埋まり出したら)「席の価値を高める」というアクションも必要だ。チームがいい成績を残すのが一番効果的だけれど、他にも方法はあるだろう。タイミングの見極めが本当に難しいけれど、いつまでも予算がネックになってチームが強くならないなんてのはイヤな話だし、まして降格なんてのは二度と味わいたくないし。
モノの値付けほど難しいものはない、なかなかズバリ値頃感のあるプライスはつけられない。それは承知のうえで、セレッソのフロントに「ガンバレ」と言いたい。あと何度か失敗してもいいから。
>少なくとも悪いことではないと思っている。今は席の価値と量がアンバランスすぎる
――でもね。
『安いチケット→収益の低下→選手の収入減→チーム力低下→日本サッカーのレベル低下→チケット価格低下』
長い期間これが続いても誰も得はしないんです。
チケット価格を削らずに魅力を付け足す。集客を増やして選手、スタッフへの支払いも増やすとJリーグでは地元の経済効果も上がるでしょう。集客が減ったとしても付加価値で勝負するのが筋なんですけどね。
買う方が安値を求めるのか、売る方が安売りするのか、鶏と卵という人もいるけど、価格を決めるのは市場じゃなくて売る方で、安売り合戦はモラルハザードですよ。