後半7分 香川 真司(C大阪)
後半25分 宮吉 拓実(京都)
後半45分 播戸 竜二(C大阪)
ようやっと桜が咲いた。たくましく、美しく。枯れ木に花を咲かせたのは、新しいシステムだった。
スタメンとベンチに変動はなかったが、布陣に大きな変化が。羽田の位置取りがぐっと前に移動し、フォアリベロのような状態になっていた。

試合開始時
図で描けば単なる4バック、1ボランチなのだが、羽田はシチュエーションによって自由にポジショニングを変えていた。殆どの時間はアンカーとして相手のパスカットを行っているのだが、マルチネス、アマラウがしっかりと守備に戻っている場合は3バックのセンターとして最終ラインに厚みを持たせていた。最初はディエゴに対するマークのために上がっているのかと思っていたが、ディエゴがサイドに流れた際も同様のポジションどりをしていたため、主体的に変化していたものと思われる。この「羽田システム」とも言うべき動きがチームを蘇らせた。
羽田が後ろにいることによって、マルチネスが攻撃に専心できるシチュエーションが劇的に増えた。パス交換によって、あるいはドリブルから、アタッキングサードに盛んに進入するようになる。攻撃の起点が前で仕事が出来るようになれば香川、乾、アドリアーノも動きやすい。前節までは狭いスペースで大渋滞を起こしていた3人だか、今日はある時はワイドに、ある時は互いに近くに位置取りして、自由闊達にピッチを駆けていた。それは去年何度も私達を魅了したセレッソの姿だった。香川のシュートがバーに当たり、乾が押し込んだシーン(コースさえ合っていればゴールだった!)を皮切りに、いいシーンが続出した。そして前半30分過ぎ、乾が中央に切れ込んで素晴らしいパスを香川に供給、香川がそれをループで決め、ついに今期初の先制、リードを奪うことに成功する。
その後もマルチネスを軸に攻撃を続けたセレッソは、終始押し気味のよい流れを持って前半を終えた。
後半も序盤は攻勢。京都が前がかりになっていたことも幸いして、3トップのウラを突く動きがうまく機能する。後半7分にはいいカウンターから攻撃的な位置取りをしていたマルチネスがシュート、こぼれ球を香川が再びゴールにねじ込む。2-0。
この二つのゴールがチームに勇気を与えた。守備に関しても羽田、茂庭、上本の「守備のトライアングル」がよく機能をする。読みの羽田、ハードマークの上本、茂庭のハーモニー。
しかし後半も時間が進むにつれ、旗色が悪くなっていく。初勝利の重圧か京都の意地か。京都加藤監督が攻撃的な選手を続々と投入し、徐々に押し返されるシーンが増えてきた。特に右サイドで起点を作られ、オーバーラップした京都DF森下、FWディエゴから危険なボールをゴール前に入れられるようになる。対するセレッソも何度か決定的なカウンター攻撃をするのだが、フィニッシュが決めきれない。後半25分にはやはり右サイドからの攻勢に耐え切れず、ディエゴのクロスを交代したFW宮吉に決められてしまう。悪い流れが長居を包む。
ところが京都はこの流れをみすみす手放してしまう。右サイドで脅威となっていたDF森下を下げてしまったのだ。そしてセレッソも選手交代。切り札播戸、家長を同時投入、前線の活性化を図る。

後半32分
播戸の最終ラインに対する圧力、アグレッシブな動きと家長の素晴らしいキープ力は守勢一方になりつつあったセレッソに再び力を与えた。前でキープが出来れば守備も落ち着くようになる。
勝利に対する執念は、若き守護神の心にも宿っていた。後半39分、羽田が負傷、運動量が落ちたため藤本を投入、同じポジションに当てた。

後半39分
しかしその後キム・ジンヒョンが相手FW柳沢と交錯、足を痛めピッチに倒れこんでしまう。もし交代カードが残っていたなら即座に松井が投入されたであろうこの状態にあっても、キム・ジンヒョンは強い気持ちを持ってゴールを死守した。試合終了後のウイニングランに参加出来ないほどの怪我をおしてなお、彼はチームに貢献した。
守備陣が意地を見せれば、前の選手もこれに応える。左サイドのボールキープから家長が抜け出し、中央の播戸が決める。値千金の3点目。これで勝負が決まった。
羽田を中心とした守備システムの成功、マルチネスを加えた分厚い攻撃、香川、乾の覚醒、バックアップとしての藤本の存在感、家長、播戸の活躍、収穫を数えればきりがない、それ程大きな一勝だった。J1を戦う準備が、ようやっと整った。さあ、ここからだ。
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