チームのリーグ戦での成績は6勝8分16敗、年間順位15位、いつもなら自動降格のところを悪運で乗り切った形になりました。得点は42(リーグ10位)失点は64(リーグワースト)いつもながら守備に課題が残る結果になりました。ホント毎年のことなんですけれどもね。
チームのトップスコアラーは大久保で15点。実にチーム全得点の1/3以上が彼の得点です。チームが大久保にボールを集めたのでそうなったのか、はたまた結果としてたまたまだったのか。彼がいなければチーム総得点は27、これはリーグワースト得点の柏にも劣る数字です。
さて、来期に向けてチームはどのような補強をしなければいけないのでしょうか?
まず目が行くのは大久保の穴をどう埋めるかですが、大久保の15点を誰か他の選手一人で補う事は難しいです。そういう選手がおいそれといるわけではありません。
得点ランキングで大久保よりも上の選手は5人だけ、日本人では大黒(20得点)と播戸(17得点)しかいません。
ではどうすればいいのか?極端な話になりますが、失点を15減らしても、チームとしては同じ価値があるわけです。そういう意味でも、来期こそ安定した守備陣を構築する必要が有ります。
幸いというべきか、国内でも海外でも、セレッソなら即スタメンというレベルの選手はたくさんいます。特に今年は神戸の土屋やガンバの宮本、木場、京都の手島など、ハイレベルな選手の移籍話がたくさん出ています。
また、今年使わなかったに等しい外国人枠を割くのもいいでしょう。ハズレが怖いなら国内の外国籍選手を当ってみるのも手です。大分のサンドロは戦力外通告を受けましたが、ストッパーとしてはまだまだできるのでは。
さらに残留が決まった事で関西大学サッカーNo.1DF江添を獲得する可能性も残っています。今はやや神戸よりですが、「残留ならセレッソ」との明言を信じたいところです。
少し前に目を移せば今年最も苦心したボランチのポジション。久藤は終盤名誉挽回の働きを見せましたし、下村の台頭も嬉しい事ですが、まだまだ不安。
こちらもガンバの遠藤が移籍騒動を起こしています。西野監督って人に愛されない性格なのでしょうか?
さらに藤本が新加入。まだまだフィジカルに不安を残すものの年代別の代表に名を連ねる逸材。大事に育てて田坂2世になってもらいましょう。
全てが上手くいくわけではないと思いますが、少なくともそうした試みを中、長期的に続ける事で、失点は少しずつでも減っていくはずです。
大久保以外の攻撃陣に目を移せば、ある程度収穫の有った一年だったと思います。特に苔口、酒本の成長と古橋の加入は数少ない良いニュースでした。
酒本は右ウイングとして攻守に安定したプレーを見せ、終盤戦の驚異的な追い上げの原動力となりました。
苔口は左足の精度に課題を残すものの、圧倒的なスピードで左サイドに君臨。終盤こそリザーブにまわったものの、来期の編成を考えれば絶対に必要なアタッカーです。
また古橋は、今までのセレッソの攻撃には無かったミドルレンジからのシュートとプレスキックを武器にする貴重な存在です。森島、徳重などと並列に並べてもお互いを殺しあう事無く共存できる稀有なプレーヤーでもあります。
こうしてみると全て順調なように見えるのですが、唯一気がかりなのは西澤のサブ、後継者の不在です。
前述の3人や森島、徳重といったアタッカー陣がゴールに向かってプレー出来るのは西沢のポストプレーが安定しているから。逆に言えばどれだけシャドーストライカーを集めても、トップが機能しなければ攻撃のパターンは激減してしまうのです。
この問題を解決する方法は二つ。攻撃陣の編成を根底からてこ入れし、パサーを中盤に入れたオーソドックスなスタイルを取るか。西澤に匹敵するトップを見つけ出すか。
どちらの方法も難しいですが、西澤も必ずプレーに衰えの出る時が来ます。今のうちから手を打たなければ、2001年の二の舞になりかねません。
日本人プレーヤーで西澤クラスのポストプレーが出来る人間、それに匹敵する構築力を持ったパサーはそういません。ここにも外人枠を使わざるを得ないでしょう。
こうして見てみると、外国籍選手はトップ(またはパサー)、ボランチ、ディフェンダーで埋まります。財政的な問題を考えると、更なるチーム力アップには、若手の成長が不可欠になります。
関西のユースチームはガンバ大阪が傑出しており、残り3チームはこの後塵を拝しているのが実情です。それを補うには高校、大学サッカー界に目を向けなければいけないでしょう。
正直なところ、セレッソは決してビッグクラブと言える存在ではありません。一つ舵取りを間違えれば即降格の危機が待っています。限られた予算の中から上位を狙う為には、はっきりとした強化ビジョンと、それに沿った継続的な補強策が必要なのです。