後半2分 田中 淳(草津)
後半40分 小松 塁(C大阪)
断言できる、生観戦した試合の中では今日の試合がワーストゲームだ。セレッソのいい所がまるで出なかった。スコアが酷い試合は他にもある。しかし内容に関しては間違いなく今日が最も悪い試合だった。
スタメンはパッチワークが続くここ何節かの中でも指折りの継ぎ接ぎ振り。柳沢は出場停止、江添、前田、古橋が怪我で欠場。羽田をアンカーで使いたいがセンターバックが火の車とあって4-4-2の布陣しか組めなかった。
それでも試合の入り方は無難だったと記憶している。右サイドの攻撃が若干中に入っていたところ以外は可もなく不可もなく。
ただ時間を経るにしたがって、だんだんと攻撃に閉塞感が出てきた。香川、柿谷のラインに本来のキレが無い。白谷、小松が動き出してもなかなかボールが供給されない。アレーは無駄に突っかけてボールロストと、良くない時のセレッソの流れに乗ってきてしまった。
守備もやや心もとない。山下、羽田のセンターバックは2試合目、さすがに前回ほどばたつきはしなかったが、前を守るはずのジェルマーノ、アレーともに攻撃に絡むことで持ち味が出るプレーヤーの為、時折バランスを欠き、冷や汗をかく事になった。もしトリプルボランチが組めたなら各々がもっと生きてくるのだけれども…。山下は流れの中からの空中戦、1対1に関してはほぼパーフェクトだっただけに、それが生かせる環境が無かった事が悔やまれる。
この悪い流れに拍車がかかったのが前半30分のプレー。相手FW高田の飛び出しにラインの反応が僅か遅れる。相澤が何とか反応したが高田が転倒、判定はPKだった。バックスタンドから観ると微妙な判定だったが、今日の主審牧野氏は線審への確認を行わなかった。相澤はシュートコースを読んでいたが、僅かに手が届かず、先制点を許してしまった。
弱り目に祟り目か、さあ反撃という時間帯、長居スタジアムの照明の一部がダウンするというアクシデントに見舞われ、貴重な数分間をロスしてしまった。この時間をプレーに当てられたとしても、今日のセレッソが何か出来たのか疑問だが、実に悶々としたシーンだった。結局前半のロスタイムにこの時間帯は加味されず、僅かに2分間が当てられただけだった。
ハーフタイムから後半開始まで、久々となった森島康が入念にアップをしていた事から、後半セレッソがより攻撃的に入る事は容易に予想が出来た。しかしプラン通りに進まないのがサッカーというスポーツだ。後半開始早々、草津の1本目のコーナーキックの際、ゾーンで守るセレッソに草津DF田中が後ろから進入、マークしきれずに2失点目を喫してしまった。
こうなってくるとチーム全体の歯車が狂いだす。攻撃は手数こそかけどシュートシーンは少なく、そのシュートも枠を捉えられない。セットプレーでも奇をてらって脅威を与えられない。ボランチのラインまで前がかりになるので、カウンターを食らうとセンターバックへの負担は尋常なものではない。一度あったあわや3失点目のシーンは相手FWのシュートミスに助けられた。
どのプレーヤーも良いプレーをしていなかったが、アレーの不出来が特に目立っていた。元々ドリブルでの攻め上がりとシュート意識の高さが売りなのだが、そのどちらもが半端なものになってしまい、仕舞いにはボールを受けるとどうしたものかと右往左往するようになってしまった。
森島康投入の意図は明確だったが、2失点後では如何ともしがたい。
森島康は久々の登場ながら、気持ちのこもったプレーをしていたように思う。尾亦のクロスを後ろに下がりながらあわせたり、なかなか小器用なプレーも。それでも局面は打開できない。
今思うと古橋の不在はやはり痛い。攻め上がってもファウルで潰されセットプレーというシーンが多々。フリーキックではジェルマーノ、尾亦、コーナーキックでは香川、尾亦がキッカーを務めていたが、古橋のそれと比べると精度がどうしても落ちてしまう。トリックプレーを多用していたのは、それをセレッソのプレーヤー全員が判っていたからだろう。
今日唯一の収穫は酒本だろうか。
右サイドのMFはただでさえ激戦区。スターターは柿谷、サブには濱田がおり、乾も加入してきた。酒本とすれば心中穏やかでは無いはずだ。その危機感が意識を変え、プレーの質を変えていったのかもしれない。とにかくがむしゃらにボールを追い、勝負を仕掛けていた。小松のゴールも酒本が絡んで生まれている。しかし時既に遅く、1-2のまま無念のホイッスルを聞く事になった。
考え方を変えるなら、ある意味セレッソはとても幸運だと言える。これだけチーム状態が悪く、ここ5試合を1勝1分3敗としながら、未だ2位と勝ち点差無しの3位という位置にいるのだから。7月には鳥栖、山形、仙台、広島と重要な試合が待っているが、その頃には怪我人が戻って来ているはずだ。さらに言えばこの苦境の中白谷、山下はいい経験を積んでいる。これらはシーズン終盤には必ず生きてくる。サポーターとして、今はチームを信じる他無い。
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