前半30分 太田 吉彰(仙台)
後半45分+4 小松 塁(C大阪)負けなかった、それだけがよかった。仙台の選手は試合が終わった瞬間精も根も尽きはてて、みなピッチにへたりこんでいたけれど、セレッソの選手は殆どが立ったまま、淡々と試合後の審判との握手やスタンドへの挨拶に来ていた。すべての試合でぶっ壊れてしまうまで頑張れとは言わないけれど、精一杯向かってくる相手を倒すためには、やはりこちらも精一杯でなければ無理なんじゃないだろうか?仙台戦にかけるセレッソの意気込みがその程度だったとするならば、それは仙台に対しても失礼ではないだろうか?そんな考えが、頭の中をグルグル回っている。
宮城県を応援するTシャツを来て入場
スタメンとベンチ、上本が帰ってきたと思えば藤本が怪我。ボギョンが3シャドーの位置に入って、倉田はベンチスタート。ピッチ上だけ見ればベストに近いメンバーが組めたが、層の薄さが気になる。
序盤、セレッソは中盤では優位に立っていた。パスもそれなりに回せていたし、危なっかしいところも比較的少なかった。ただシュートの意識が低く、ゴールを脅かせなかった。仙台もバイタルエリアはがっちり固めていたし、マルチネスがボールを持った時はどんなに後ろであっても必ずプレッシャーをかけていたので、このあたりは計算通りにやられていたのかも知れない。奪われると前の関口、梁、太田あたりがしっかりボールを保持するので守備陣は煩わしい仕事に奔走することになった。
ヨンギは敵にすると、本当に厄介
ただセレッソサポーターとすれば、時折チームから見られる気の緩みのようなものには腹立たしい感覚を持った。ボール際の激しさは比べようが無く、インドネシアから強行軍であったとしても、もう少し何かできたのではと思う。
特に不調だったのは、一番しっかりしてほしい乾だった。いつもは何気なくできているはずのトラップさえ失敗してしまうので、ボールを収めてほしいところで奪われ、カウンターになるところが何度も。また中後は新潟戦と同様に、ふっと気が抜けてプレーが止まってしまう。ボランチというポジションが仕事を止めてしまえばどういうことになるか…。
失点を食らった場面でも「ここさえしっかりしていれば」というポイントを二つ三つ突破されている。セルフジャッジでプレーが止まり、中に簡単に折り返され、気持ちを立て直す前にゴールを決められていたのだから、辛い。前半は本当に褒められる要素が1つもない、欲求不満になる45分間だった。
清武は波のないプレーで奮闘してくれたが…
レヴィーも同じく不満であったようで、後半アタマからカードを切った。中後に代えて倉田。ボギョンを1列下げて攻撃的な色合いを強く出す。
後半開始時
それでも「笛吹けど踊らず」が今のセレッソで、乾がポスト直撃のミドルを放った以外はまるでいいところがない。ガチガチに守られたところにボールを持って突っ込んでいって、どれだけ成功するのか。カウンターは茂庭とキム・ジンヒョンが何とか防いでくれていたけれど、あれでは守る人間は浮かばれない。キム・ボギョンのボランチもイマイチ機能せず、倉田も空回りが目立った。チームの歯車が噛み合わないまま、時間だけが過ぎていった。
大鉈が振るわれたのは後半26分。チームの柱であるピンパォン、乾のラインをゴッソリ摘出する。フィジカルに長けた永井と小松を入れて、4-2-2-2にシフトチェンジ。長いボールを放りこんで、僅かの可能性にかける。
ここまで来ると両軍疲労の色濃く、クリエイティブなプレーだとか、チームとしての連携なんかよりも、勝ちたいという欲求や、一つのボールを追う気迫のようなモノが大事になってくる。そして残念ながら、今の仙台にはそうした精神的なタフネスがあり、セレッソには無かった。
いいシュートも林が弾く
正直に言えば、この試合は負け戦だった、勝ち点を拾えたのは幸運以外の何物でもない。もちろんチームはその幸運を呼び込むための努力をしたけれど、そんなものに賭ける前にするべき所作を省いていた。言うならテストの前日だけ一夜漬けの勉強をして、運良くテストにその箇所が出て、それで欠点をまぬがれたようなものだ。キンチョウスタジアムにいる神様が、ほんの少しいたずらをしてくれただけだと考えたほうがいい。小松、永井といったベンチスタートが続いている選手の、その鬱憤のようなものが見えたのだけは救いではあるけれど…。
こんな場当たりが何度も続くはずはない。アウェー浦和戦、選手個々人の意識が変わらなければ、ただカードだけを貰って帰ることになるだろう。ACLなど中二日でやってくる、危機意識がチームに流れていることを願う。
posted by 西中島南方 at 02:27
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