シンジの基本的な動きのパターンは3つしかない。本当に。J2にセレッソがいたころ、試合に出始めた時から変わっていない。
それは「守備」「ビルドアップ」「フィニッシュ」
前の二つはカタール戦より前の試合でも出来ていた。けれど他の選手と違う、シンジ独特の持ち味である「フィニッシュ」が上手くできていなかったところを「不振」だと言われてしまっていた。カタール戦の2点目、そして伊野波のゴールを呼び込んだライン突破からのドリブルこそが、シンジをシンジたらしめているオリジナリティだ。
カタール戦での2点目は「守備」から「フィニッシュ」までが上手く決まった。
後半23分。まず複数人で囲い込んで高い位置から上手くボール奪取に成功。シンジはそのメンバーとしてまだ右サイドにいる。
そこから目の前に加速するに十分なコース、スペースがあることを見つけると、最大戦速で侵入する。ナナメの動きで、カタールの中盤の選手はボールホルダーと正対すると後ろを動き出しているシンジに気がつかない。ラインの選手としても応対しづらい距離感になる。
ここで本田がうまくそのスペースのウラを通すボールを入れてくれた。多分もう一人のシンジ、岡崎を狙ってパスを出したものだけれど、シンジもおなじポイントを突く動作に入っていたので、結果としてゴール左サイドでキーパーと1対1になるというシンジの一番得意なパターンに持ち込む導火線になってくれた。
守備時、ビルドアップ時などのシンジはトップスピードで中距離をスプリントすることはあまりない。どちらかというと一定のスピードで運動量を稼いで、チームの穴を埋めたり、相手の穴にスルスルと入り込むようにしている。だから不振で「フィニッシュ」つまり一気のスピードで相手の急所を突く動きが減ると、途端に緩慢に動いているように見えてしまう。パスも大きな展開よりも、細かいパス、スイッチする動きが好みのようで、押さえ込まれるときは大抵細かいスペースで難しいことをやろうとして空回りしてしまう。
ただスペースが生まれ、それを感じてくれるパートナーがいれば、香川の持ち味、ゴール前でのトップスピードの動きが生きてくる。代表では岡崎、長谷部あたりと相性があってきた。ここからがシンジの本当のアジアカップになると信じている。
posted by 西中島南方 at 16:35
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