家に帰ると娘のたろもがいつもよりいろいろと話をしてくれた。人の気持ちを読むのがすごく上手い子なので、こういう気持ちも読んでしまうんだろうな。出来るだけ隠しているつもりでも、あの子には無駄なのか。
そうしてしばらく用事をしているとまたたろもがやって来て、私にちいさな紙袋をくれた。
中には娘には大金のはずの1000円札が入っていた。
「おとしだまは大人がこどもにあげるものだから、たろもは大きくなってからたろものこどもにあげればいいんだよ」
というと
「あ、そうか。たろも勘違いしててん。ごめんごめん」
と、恐縮していた。
この子の本当に優しいところを育てたのは家内だ。私は怠慢をしていて、殆ど何もしてあげられなかった。なのにその優しさに触れられるのが私ばかりというのは、少し不公平な気がする。早く元気になって、家内がこの温かさに触れられる日が来るように、私も頑張らないとな。