諸所の事情で家でのテレビ観戦だったわけだが、ブラウン管を2時間眺めるだけでこれだけ体力を消耗するものだろうか。クタクタになった試合だった。
原因は慣れない4-3-3の布陣を敷き「よそ行きサッカー」をしてしまったため。
この並びだと攻撃陣の持ち味が生きてこない。動いて受けるプレーヤーのはずの古橋、香川、柿谷が、揃ってゴールに背を向ける、はたまたサイドに張り出して止まって受ける。これでは攻撃にリズムが生まれない。
攻撃時に不用意にボールをロストするので、守備も不安定だった。この試合まで5試合連続無得点の徳島が拙攻を繰り返していたので助かっていた場面も多々あったが、もし上位チームとの対戦であったなら失点は避けられなかったろう。
確かに「負けられない」という重圧はあった。香川や古橋、ジェルマーノといった面々が(不慣れなポジションとはいえ)納得のいかないプレーを続けていた理由の一つは間違いなくそれだ。ただし試合への入り方、指示によって回避できた要素もあった。今は新しいことを試みる時季ではないだろう。
前半を不甲斐ない内容で終えたセレッソは、後半頭からアンカー役だった藤本を下げ酒本を右サイドに投入、香川を一列下げて、プレーし慣れた4-4-2に戻す。
これでようやっと普段のセレッソに戻り、各自いつものプレーをすれば良くなったのだが、それでも流れが悪いのは相変わらずだった。古橋、柿谷と小柄なFWしかいないのに、相手のプレスに押されてロングボールを多用するなど、ちぐはぐなプレーが続いた。
この試合セレッソが唯一素晴らしかったのは、そんな流れの中からでも得点し、失点を抑え、勝ち点3を奪えたこと、それに尽きる。流れの中から得点できないならセットプレーで、ジェルマーノの今季2点目は値千金のヘディングゴール。
その直後に2枚目のカード。FWでも孤立気味だった柿谷から長身の小松へスイッチ。
攻撃では貢献できなかったが、終盤押し込まれた時間帯、自陣ゴール前で高さを発揮した。
結局ロスタイムに「気分屋」ゼ・カルロスが驚異的なゴールをあげ、2-0での勝利。今のコンディションを考えれば最良の結果かもしれない。京都が破れ、仙台が1-0の勝利だった為、勝ち点、得失点差で僅かに差を縮めたセレッソ。残り4戦、ミッションはまだ始まったばかりだ。