先発メンバーは前節と変わり無し、怪我から復帰した小松はベンチスタートとなった。
マクラにも書いたが、前半のセレッソは、とにかく酷い有様だった。攻守共に全くかみ合わず、よく一失点でしのげたというのが、嘘偽り無い感想だ。
例えば守備から攻撃に転じた際、前四枚(濱田、キム、古橋、苔口)の誰も、ボールを引き出す動きをしない。かといって、代わりに中盤が動いてフリーになるわけでもないので、ボールホルダーはどこにもパスを出せない。
逆に攻撃陣がまれにいい動きをしたり、スペースを見つけても、誰もボールを出してくれない。横パスやバックパスばかりで、どちらに攻めているのか判らない程。
個人技で圧倒するわけでもなく(むしろ芝に足をとられてもたつく事もしばしば)チームプレーで補うでもなく、ひたすら京都の速攻に手を焼く状態が続いた。45分間のうち44分間は、相手にペースを握られていたように思える。勿論攻めている場面もあるのだけれど、相手が設定している守備ラインをどうにも超えられない。蒸し暑い初夏の京都では、不快感も増すばかり。
そんなシチュエーションであったから、後半が始まっても、全く期待はしていなかった。
転機となったのは、やはり苔口から小松への交代だろう。
この交代で様々な問題が解決された。ポストプレーに四苦八苦していたキムの負担は劇的に減り、前線からチェイシングに励むFWが入った事で、守備にも僅かながら余裕が出始めた。中盤の運動量が増え、右サイドの柳沢も思い切って上がる回数が増えた。そして何より積極的で、泥臭いプレーが観られるようになった。
京都サポーターからすれば、今日のセレッソはさぞ汚いチームに映ったろう。しかし、セレッソはきれいなプレーをして勝てるチームではない。球際は激しく行かなければ試合にもならない、そういうチームなのだ。あのお世辞にもファインゴールとは言えない得点も、ある意味とてもセレッソらしいものだった。
この後、京都の足が止まり始めた事もあり、一時は押せ押せのところまで行ったのだが、結局1-1でタイムアップとなった(終盤のゼ・カルロスのテンパり具合は、ご愛嬌と勘弁願いたい)
現実的な話をするならば、この上位との3連戦、取れた勝ち点は僅かに1。限りなく赤に近い黄色信号が、第2クールも終わらぬうちから灯ってしまった。それに関しては、残念だとしか言えない。
ただこの90分間だけを切り取れば、全く何も得られなかったわけではない。キムと小松が共存可能だという事、それによって古橋を中盤にまわせる事、そしてカードを貰い続けるアレーのバックアップとして、千葉に目処が立った事。この三つは、森島康、香川が帰ってくるまでの選手層を考えればとても大きい。
確立が0%なるまでは、まだ終わったわけではない。一つ一つの試合を大切にし、確実に勝ち点を拾っていく。まずこれを目標に、捲土重来の期を待とう。