そんな時、彼に会った。彼もまた辛酸を舐め、私と同じ泥沼に足をとられていた。私達は小さなコミュニティーを作り、互いの喜び、互いの苦しみを分かち合った。もしあの時が無ければ、私はまだあの苦しみの中にいたかも知れない。
そして、月日は流れた。それぞれがそれなりに傷を癒し、あのコミュニティーから羽ばたいていった。会社員になった者もいる、パン焼き釜の前で汗する日々を送る者もいる、小説家になって、小難しい賞を勝ち取った者もいる。
私は、小さな会社でそれなりに忙しい日々を過ごしながら、スタジアムでは愛するチームを鼓舞する、どこにでもいるようなサポーターになった。彼もまた、サッカーに没頭していったようだ。応援するチームが違うのが、残念ではあるけれど、お互い地元意識が強かったから、こういう流れになるのは不可避だったろう。
じしゃくさん、久しぶりだよな。元気そうで何よりだ。長居に来るかい?友として、歓迎するよ。上手いメシが食えるところ、教えるよ。好みの少しレトロな喫茶店も、知ってる。
でもスタジアムでは敵同士、一切情け容赦はしない。と言っても今の状況じゃ、そんなご大層な事は言えないか。
ともかく、京阪ダービーなんて下らないタイトルはいらない。今までもこれからも、私達は自らの愛するチームを全力で応援するだけなんだから。
さあ、行こうぜ。俺たちの大阪!
参考エントリ:雨紫(あめむらさき) セレッソ戦に向けて