まずマスゲーム、無事成功、多分。ただマスゲームしている時は、決まってチーム、フロント、サポの足並みが揃わない。去年のダービーではサポとチーム、名古屋戦ではフロントとチーム、川崎戦でもフロントとチームが結果を出せなかった。今年はようやくサポとフロントがある程度繋がったと言うのに、肝心のチームがまたも惨敗、三位一体とはいかなかった。
こういうイベントをする時は特別な試合なわけで、そこで結果が出せないという事は、問題では無いだろうか。
スタメン予想はずばりと当ったが、ここが問題かもな、という予想も、ほぼ全て当ってしまった。
この布陣のキーポイントはサイドでの主導権。柳沢、森島寛、苔口で作る右サイド、ゼのリズムで切り崩す左サイドというのは、監督の意図通りだったろう。特に前半の立ち上がりはサイドに流れて受ける苔口とゼの果敢なオーバーラップが目に付いた。
ただサッカーは最終的にボールがゴールラインを超えなければ得点にならない。この状態ではセンタリングやサイドの崩しまではイメージ出来たものの、シュートまで持ち込むシーンは極まれだった。OFFICIALのシュート数は14となっているが、ミドルやロングからの不正確なものが相当数あった。逆に枠内シュート数はかなり少ないはずだ。
そんな歯がゆい立ち上がりが終わると、早々に失点。課題だったはずの、誰もが注意していたはずのセットプレー。右サイドからの、今日最初のコーナーキックを、ニアにいたドフリーの選手に合わせられた。
その後も、それに熱くなるわけでなく、逆に落ち着くでもなく、淡々とサイド攻撃にこだわり、同じように相手センターバックに跳ね返される。セレッソの前線に、もう西澤はいないというのに、空中戦に強いわけでもない古橋と苔口に高さを求めるのは無為無策と言う外無い。
守備に関しては攻撃よりいくらかはましではあったけれど、それとて比較的そうだったというだけで、組織的で素晴らしいプレーができていたかというと、正直そうだとは言えない。
例えばゼも柳沢も上がった時、両サイドに出来るスペースのケアなどは未整備だったように感じる。そもそもバランスを考えれば、どちらかが上がった時には、反対側はバランスをとった方が安定するはずなのだが、そんな約束事も上手く行っていない様子だった。
ボランチに関して言うと、丹羽は適正が有ったのかどうか。アレーが底の位置でボール奪取と両サイドの散らし役になっていたから、もう少し前目でプレーした方がいいと思ったのだが、それが出来ないままで、中盤の前二人とボランチの間に接続不良があった。
簡単に纏めてしまうと、非常にフラストレーションの溜まる前半だった。後半に劇薬を使わなければ、何も変わらないままだろうという印象。
だが後半の立ち上がり、またも失点しリズムを狂わされる。味方DFに当ってシュートコースが変わり、反応できなかったというものだが、これを不運と片付けるべきか。
もしチームがイニシアチブを握り、中盤を掌握できていれば、当然そんな位置からシュートは撃たれない。それを許した事に罪がある。
出端をくじかれ、最初の交代が後手に回ったセレッソ。前半早々から消えていた宮本に代えて濱田を入れ、攻撃のバリエーションを増やそうと試みる。
短い時間で、ボールタッチも少なかったが、濱田は随分タフになって戻ってきたように思う。当りを嫌い、パスの出し手としてだけしかプレーをしなかった選手が、激しいコンタクトにもめげずに走り回っていた。
矢継ぎ早に3分後、二人目のカードを切る。丹羽に代えて酒本、中盤は(おそらく)ダイアモンド型、より攻撃的にシフト。
ただこの形でも前線の膠着状態を打破できない。個人技で崩せず、組織で揺さぶれず、ただ漠然と、単調な攻撃を繰り返すのみ。タメを作れる選手がおらず、センタリングまでいく機会すら減っていった。
対する仙台も、決して絶好調というわけではなかったと思う。カウンターの精度が良ければ、こんなスコアでは済まなかった。その仙台に対してこのスコアというところが問題。
残り時間が20分を切り、最後のカードはお決まりのパワープレー要員。森島康が登場し、前線にようやく高さが加わった。
トップに森島康、セカンドに森島寛、古橋。左サイド少し下がった位置に濱田、右サイドは酒本、アレーもワンボランチながらこぼれ球に絡む。今日登録されたメンバーで、最大限攻撃的な布陣だった。
それでも不正確なロングボール、横パスは相変わらずで、ストレスばかりが増えていった。ロスタイムの焦りから来るイージーミスも改善されてはおらず。このままタイムアップ。
この一試合で全てが決まるわけではないけれど、とにかく収穫の少ない開幕戦だった。サイドバックのバランス、運動量重視の中盤のてこ入れ、前線を生かす攻撃の組み立て、そして持病のセットプレー、課題は沢山ある。その全てを湘南戦で解消しろというのは、不可能だろう。しかしせめて良くしていこうというベクトルを感じたいとは思う。