誰かに説明してほしいのだけれど、一人退場になって交代枠を使い切らないというのは「アリ」なのだろうか?あまりそうする利点が判らないのだけれど。セレッソのベンチには窮地に立たされて尚、ピッチに投じるのを躊躇うような選手しかいないのだろうか?それとも塚田監督は交代枠を把握出来なかったのだろうか?どちらにせよそれは絶望的な事だ。
前節絶不調だった柳本はベンチ、藤本が左ストッパーに。空いた右サイドには山田が入る。
浦和はワシントンを欠き、攻撃は田中達也一辺倒。それでも右に左に走り回り、守備陣を疲弊させた。
そこを上手く潰せればいいのだが、今のセレッソにその力は無く、15分に右サイドから崩されてあっさりと先制点を謙譲してしまう(もし小野がもっといいプレーをしていたら、もう1、2点はとられていたかも知れないが、これに関しては幸運だった)。
攻撃に関しても精彩が無い。3トップがそれぞれらしさの欠片を見せるものの、シュートで終わるシーンも僅かで、押し上げも少ない。とにかくガツガツとマンマークされる上に、倒れてもファウルすらもらえない。これでは手詰まりになるのも至極当たり前のこと。
前節から比べれば、プレーの停滞は僅かながら良くなっていたように感じたが、それでもスペースを見つけたり、選手の動きを把握する事が出来ないのは相変わらず。これが浦和との絶対的な差だった。
例えば守備では、飛び出してくる選手を捕らえられなかったり、急所になるスペースをぽっかり空けてしまったりするし、攻撃では折角フリーランしている味方を見つけられずに狭いスペースへと自ら飛び込んでしまう。
そういう局面を打開する「特効薬」として、名波が後半頭から投入された。
前回に続いて、森島寛との交代。全員が走るチームから、名波を「王様」に据えたチームにシフトして、流れを変化させる。
実際名波は他の選手から圧倒的に支持されているようで、彼がボールを持つと全員が動き出す。もう少し攻め手の枚数が有れば、まだまだバリエーションは増えるだろう。そういう意味では前が西澤、大久保だけというのは勿体無い気がする。
などと思案を巡らしていたら、大久保がまたやった。
悪い予感はよく当たる。今度の被害者は堀之内、ピッチの急所を突いてほしかったのだが、堀之内の身体の急所に的確にエルボーを見舞っていた。
もし彼が格闘家なら見事の一言なのだけれど、残念ながら今やっているのはサッカーで、そういう行為は退場に値する。
それにしても、スペインに行っていた去年をはさんでホーム浦和戦二試合連続退場というのはいかがなものか。
確かに激しいマンマークは、ストレスが溜まるものだ。さらに今日のジャッジングはスタンドから観ていても不満が有った。加えて彼には悪童というレッテルが貼られているから、何かあれば他の選手よりも厳しい結果が待っている。それは判る。でも、そんな理屈をどれだけつけても、ラフプレーは正当化出来ない。大久保嘉人というのは諸刃の剣のような選手で、そういうことも織り込み済みで考えて下さいとでもいうのか。
兎にも角にも、これで10人になってしまった。名波より前でパスを受ける選手は西澤一人になり、彼はお世辞にも運動量豊富とは言えない。リードされている事を踏まえれば、ここは走れるFWを入れるか、古橋を一列上げるのが普通の策、しかし、塚田監督は動かない。
追加点を奪われ、浦和が次々と主力を引っ込めていく中に有っても、まだカードは切られない。名波が西澤とともにフレッシュな浦和ディフェンスの激しい守備に晒されていても、河村、宮本の若いボランチ二人が疲弊していても、監督は監督としてするべき仕事をしなかった。
ようやく重い腰が上がったのは後半30分過ぎ、浦和が全てのカードを主力温存に使ってからだった。河村を下げてターゲットマンの柿本を入れる。
これでようやく攻めに厚みが出てきた。勿論リスクがゼロだったわけではない(永井と吉田が一対一になったのが二度有ったか。一度はループシュートがそれ、もう一度は吉田のヘッドバッドがどてっ腹に突き刺さっていた。本当にプロレスのようだった)けれど、それを恐れるのは、諦めるのと同意だから、これでいい。藤本があの位置でいいミドルを決められたのも、それだけの圧力が相手の最終ラインにかかっていたからというのは、こじつけだろうか。
結局それ以上スコアは動かず、1-2で敗戦となったのだけれど、最後に印象に残っていたシーンを書きたい。
確か40分過ぎだったか、浦和のコーナーキックのシーン。三都主がボールをセットした後で、急に味方に対して怒り始めた。どうやら誰か一人にコーナーに寄ってきてもらって、その辺りで時間稼ぎのボールキープがしたいらしい。リーグ2位を走っているチームが最下位に沈むチームにするプレーとは思えないけれど、そういう「どれだけ醜態を晒しても結果を求める姿勢」が、セレッソには足りないのではないかと思った。
例えば前節京都戦、1点リードした後のロスタイムにセレッソがどういうプレーをしていたかというと、実に素直に、普通の攻撃を仕掛けていた。後ろでボールをまわして時間稼ぎをするでもなく、わざとらしくピッチで転げまわるでもなし、とにかく何の疑問も無く攻めていたのだ。
そういう意識の差の積み重ねが、セレッソを今の位置に置いている。もし本気で残留を望むのであれば、得点一つ、勝ち点一つを、もっと大事に考え無くてはいけない。
次節は大久保、ブルーノを出場停止で欠く、それだけの覚悟が有るのか、しっかり見極めたい。