ただアウェーの地で行われる試合は、例え相手が格落ちであっても、観客が少なくても、そして協会に落ちてくるお金が少なくても、価値があるものだと思っている。結果としては物足りないというか、消化不良の二試合であったけれど、それなりに収穫はあったと思う。
中盤では松井が「黄金の中盤」にひけをとらない働きをした。彼の動きは他のどのMFよりも独特で、アクセントとしてだけでなくスターターとしても十二分に働けるということをアピールした。サイドに流れる動きやちょっとしたリズムの「転調」で相手を切り裂く姿を見ていると、アテネ世代も捨てたものではないと思わせた。
また中田、中村を中心とした今までの中盤もかなり成熟してきている。攻撃もさることながら守備においても献身的な動きを見せた。今回の二試合は共にダイヤモンド型を採用していたが、今の中盤であるならばどのタイプの組み合わせでもある程度機能するだろう。ラトビア戦で見せたほころびを修正すべくバックラインと密にコミュニケーションをとる中田の姿を見て、少し安心した自分がいた。
「通用しない」のが確認できた。というのもやや悪い表現かも知れないが、収穫には違いない。4バックにすると、やはり両サイドのバランスが悪い。特に三都主のところを狙われると辛い。ウクライナ戦では相手の攻撃の基点が右サイドバックだった事も有って、それがより顕著に現れた。では4バックの左サイドは誰が適任なのか、と聞かれてもなかなか答えに窮するのだけれど、やはり左から崩されると怖い。
嘉人は、この2試合で「不合格」の烙印を押されてしまったのだろうか。ラトビア戦はともかく、ロスタイムに放り込まれたウクライナ戦は評価のしようが無い。せめて45分は見られないものなのだろうか。他のFW陣と比べて、あまりにも時間が短すぎた。
最後に今回一番の収穫を。やはり「審判」に触れずにはいられないだろう。あからさまに悪意の有った(日本人なら普通にそう感じられるだろう)ウクライナ戦の審判でも、主審は主審であり、ピッチ上での裁定は絶対なのだ。中田浩二の退場、箕輪のPK等は「不可抗力」と言えなくも無いが、頭の片隅にでも審判の傾向を置いていれば、もう少し前の段階で悲劇を防げたかも知れない。そういう試合がW杯でも有るという可能性は、02年の韓国の「怪」進撃で証明済みなわけだから、そこまでケアが出来るチームを06年までに仕上げていってほしい。