MLBには長らく「バンビーノの呪い」というものが有りました。ボストン・レッドソックスがベーブ・ルースをニューヨーク・ヤンキースにトレードして以来、80年以上ワールドシリーズで勝てなかった事を「呪い」ととらえ、ベーブ・ルースのニックネームを取って「バンビーノの呪い」というようになったのです。
パスの供給も乏しく、ゴールかと思われたプレーをオフサイドと取られてしまった大久保にも「呪い」がかかっているのかも知れません。問題のシーンではテレビの前でオフサイドじゃないでしょう!と声を大にして叫んでいました。
呪いは大久保だけに留まらず、松田、本山、小笠原にも伝染。再三の決定機もものに出来ませんでした。序盤に玉田があげた「左サイドギリギリからのシュート」がなければ、一体どうなっていたでしょう?修正点は山のようです。
まず先発メンバーは下記の通り
4バックは予想通りある程度機能していました。機をみてオーバーラップをかけ、空中戦を制していた松田と、無回転シュートで相手キーパーのファンブルを誘っていた三浦は今日合格点を与えられる数少ない選手でした。加持も、良くも悪くもいつもの加持でしたが、なれた4バックの為か凡プレーは少なかったように感じます。
ただ宮本に関してだけは、キャプテンとしてゲームの悪い流れを修正できなかったという課題が残りました。
チームはゲーム開始から15分程はパスワークとポジションチェンジ、両サイドバックのオーバーラップから良い形をいくつか作っていました。小笠原は空いたスペースにほぼ的確なパスを出し、前線もそれに反応。遠藤もガンバで発揮している力そのままを表現していました。
ところが先制点後、チーム全体、特に中盤に変化が見えるようになります。まず藤田が、徐々にゲームから消えはじめました。
ボランチの二人、特に中田も徐々に安定感を失い、前半終了頃には小笠原のプレーにも雑な部分が現れ始めます。
小笠原のそれは深刻で、パスを受ける際にまわりを確認せず、簡単にボールを奪われたり、スペースに出る動きが無くなってボールが停滞してしまったりと、試合開始時とは別人のようになっていました。
後半15分過ぎから観衆の声に押し出されるように大久保がピッチへ。藤田が下がり、本山が中盤左へ、MFは4人の内3人が鹿島勢になります。
これで中盤が落ち着くかと思われたものの、事態はより深刻さを増していきます。小笠原のパス精度は落ちる一方、本山もトラップミスや連携ミスを多発するようになり、逆にシンガポールの速攻に手を焼くようになります。
ジーコも業を煮やしたか、ここで玉田に変えて鈴木を投入。前にターゲットを作る事でボールを落ち着かせる狙いが有ったものと思います。
それでも積極的な攻撃はなりを潜め、雑なボールが日本とシンガポールの間で行きかうだけの凡戦に、スタジアムのフラストレーションは頂点に達します。
コンダクターであったはずの小笠原のコンセントレーションは完全に切れ、その機能を完全に停止します。本山のアタックもその場任せ、まるで負けている時のセレッソのようでした。
ジーコの最後のカードは通訳役を買って出ていた三都主。小笠原を下げて本山を右サイドに。
三都主の加入と大久保のフォローで最後の5分は何とか体制を立て直したものの、ロスタイムにはあわや同点というピンチも。結局1-0のスコアを維持するのがやっとというフィニッシュでした。
今回の凡戦の原因が、選手のモチベーションに有ったのか、それともシステムに起因するものなのか。今まで継続していた路線とはあまりにも違うフォーメーション、メンバーを採用した為に原因を明確にする事は出来ませんが。少なくともそれぞれの選手がそれぞれの役割を把握し、しっかりと貫徹していれば、1-0というスコアにはならなかったはずです。最終予選を前に、改めて個々人の「代表としての自覚」を問われるマッチとなりました。
posted by 西中島南方 at 22:40
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